春・夏・秋・冬

 「土地の強制収用、家屋の破壊、パレスチナ自治区の封鎖、拷問、病院に行くことの妨害など、イスラエルは国際人権法を侵害しています」。この手紙の主はパレスチナ人ではない。昨年9月、軍によるパレスチナ占領に反対してイスラエルの高校生62人がシャロン首相らに送ったものだ。彼らは「良心に従い、パレスチナ民衆の抑圧にかかわるのを拒否する」と書いた

▼イスラエルで兵役を拒否することは、並大抵の勇気ではできないことは想像に難くない。実際、この手紙にかかわった高校生は右翼から「裏切り者」と言われ、一般市民からも批判を浴びたという。軍刑務所への収監を繰り返している若者もいる

▼パレスチナ問題は泥沼化の様相から一歩も脱してはいない。とくにシャロン政権になってからは、聖地をめぐってパレスチナ側を挑発する行為が相次ぎ、最悪の状況が続いている

▼そんな時だからこそ、彼らのような若者の存在は「闇の中にさす一筋の光」と言えまいか。その光から何かを得られれば、それが平和への道筋になっていくのだと思う。実際、半年が過ぎ、彼らの動きに賛同する人々も増えてきているという。「9.11」以降、反戦Tシャツを着て登校し退学せざるを得なかった米国の女子高校生がいたが、逆に米国やイスラエルの若者の間でこうした動きがあることに意義を見出したい

▼兵役拒否に参加したある高校生は、「町で誰かに襲われたら」と聞かれて、「自分の身を守るために必要最小限の力を使う」と答えた。時には「最小限の力」こそが「最大限の力」になる。(聖)

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