焼肉激戦区−繁盛店
何よりも信頼関係、客足戻る
広島・呉市、焼肉「山光亭」
給食での復活に期待
JR呉駅(広島県呉市)の繁華街の一角にある焼肉「山光亭」(約50人収容)。 今年オープン38年目を迎え、同市では老舗的存在だ。店主は趙成洙さん(46)。5年前にリニューアルオープンした際、両親、兄からのれんを受け継いだ。 BSE(狂牛病)問題の風評被害により厳しい経営を強いられ、客足は以前の3分の1に減ったが、「3月に入り平日はサラリーマンやOL、土日はファミリーなどの常連客が3分の2近くまで戻ってきた。4月から学校給食に牛肉が使われるようになれば、もっと明るい兆しが見られるのでは」と言う。 趙さんはBSE問題後、肉の安全性をアピールするチラシを貼ったり、新メニュー(トントロ=豚肉)を導入したりはしたが、対策に特別な力は入れなかった。 「地域柄、割引キャンペーンをしても次につながるわけではなく、むしろ赤字が増えるだけだ。それよりも、新たにつかんだお客様との信頼関係を維持しながら、店を切り盛りしていこう」と考えたという。 それというのも、リニューアル前は「煙モクモク」の店だったが、新築の際、無煙に変え、店内を明るくした。 その結果、客層も変わり、サラリーマンやOL、ファミリーなどが定着。「良い肉」と「心のこもったサービス」を提供することに力を入れ、常連客を増やしてきたからだ。 脂落し原価抑える 肉は広島産の和牛、鹿児島産の黒毛和牛を使用している。趙さん自らが直接工場に足を運び、枝肉を検品。脂などを落として購入している。原価を抑えるためだ。 カルビは客の好みに合わせて価格を設定。脂身の少ないのは900円、霜降りは上カルビとして1100円で提供している。また商品にならない切り落としの部分はひき肉にして餃子の材料として使い、メニューに加えている。 仕入れは大量にではなく、こまめに行い、新鮮な肉を提供できるよう心がけている。 キムチは日本人客の口に合わせて、辛くもなく、すっぱくもない程よい味加減。唐辛子は日本産の物を使用し、見た目も辛そうには見せない。子どもも1人前をペロリと食べてしまうほど、好評だという。 1人客も心よく 趙さんの心の行き届いたサービスも、固定客を増やす一因となっている。 ファミリー客の場合、子ども向けにウィンナーを提供。サラリーマンなどには、チューハイ(250円)が喜ばれている。 また1人客でも心よく受け入れている。カウンター形式のテーブル(2人掛け2席)を使うことで、客も気兼ねせずに利用できる。こうした心遣いから、1人客も次は家族で訪れるなど、顧客の拡大に結び付いている。 またビールや小スープなどのサービスも、客とのコミュニケーションを図るきっかけになっている。 趙さんは、「4月から学校給食に牛肉が復活すればファミリー層は増える。また新入社員の歓迎会シーズンとあって、利用してくれることを大いに期待している。と同時に、コツコツとお客様との信頼関係を築いていくことで、店を以前のように活気付けていきたい」と意欲にあふれていた。(羅基哲記者) |