よりよいウリハッキョを−現場の取り組み−(8)

無料教育の完全実施めざす

岡山初中教育会 房光一会長


幼稚班は無料

 岡山朝鮮初中級学校と倉敷朝鮮初中級学校の統合に伴い、2年前に新しくスタートした岡山初中には、県下はもとより、山陰地方、広島県東部地域の児童、生徒らが通学している。

 統合を機に教育会では、これまで以上に赤字のない学校運営に力を尽くす一方、授業の質向上とあらゆる教材がそろった魅力ある学校作り、そして将来的な無料教育の実施を目標に活動を行っている(現在、幼稚班は無料教育実施)。

 その軸となってきたのは、既存の教育会独自の事業、各地域ごとにある愛校会の活動、そして恒例となった金剛山歌劇団公演事業だ。

 現在、教育会は同胞商工人らの協力を受けて実現している自動販売機設置などを通じて得た利益を学校運営に充て、予算の3分の1をまかなっている。

 愛校会活動については、そのいっそうの活性化のために役員を新しく編成。岡山、倉敷、山陰、福山地域にそれぞれ副会長を置き、その下に理事を2人ずつ配置。統合後も地域別運動を継続できるようにした。

各地域に愛校会

 愛校会がその主な運動としてとくに力を入れているのが、1口運動(岡山は1000円、倉敷は2000円)だ。例えば、20年の歴史を持つ倉敷愛校会では今も若い世代にその運動が引き継がれている。同会は2年に1回チャリティーコンペを催し、学校運営に協力している。

 昨年、再建された岡山愛校会でも現在、500口を目標に掲げ、運動を繰り広げている。ここでも、若い世代が積極的なのが特徴だ。

 岡山県青商会会長を兼任する同愛校会副会長は、青商会が民族教育を守るというスローガンを掲げている以上、会員らと手をとりあって200口は必ず責任を持つと言明し、取り組んでいる。

 また、愛校会とは別に、岡山地域の同胞商工人有志の会「朝友会」では年に1回チャリティーコンペを催し、その収益金をすべて学校運営にあてている。チャリティー開催にあたっては1カ月前から毎日のように役員が集まり、準備に余念がない。

 福山では通学バスを購入、寄贈しくれており、山陰も定期的にチャリティーコンペを開き、その利益金を学校に寄付している。現在、各地の愛校会からの寄付金は、学校予算の14.8%を占める。

 一方、オモニ会、そしてOBオモニらで作られている岡山地域の「愛校セットン会」、倉敷地域「愛校ピンナラ会」の活動も活発だ。会費のほか運動会や年に1回行われる「桃太郎祭り」などに売店を出し、その利益金を児童、生徒らのクラブ活動、遠征費、学芸会の衣装制作費などにあてている。

 金剛山歌劇団公演事業は25年前から朝・日親善・学校チャリティー公演と位置づけ、日本市民の協力も得て行われており、その収益金は全額、学校運営にあてられている。

 このように学校をこよなく愛し、自分たちの手で必ず守っていくという同胞らの不退の意思と誠意、そして熱意、努力によって学校運営は支障なく行われてきた。

国連人権委にも参加

 近年われわれは民族教育権の拡充を求める運動にも力を入れてきた。学校関係者、同胞らの絶え間ない努力と運動によって、昨年倉敷市が教育助成金を1人当たり年額8000円から3万円に増額した(岡山市は据え置きで8000円)。

 1999年8月には同校教育会の李康烈理事長と朴琴淑教員が国連人権委員会に参加し、朝鮮学校が置かれた差別的な現状とその是正を訴えた。

 日本政府が朝鮮学校に対して日本の私立学校並みの教育助成を実施するのは当然のことだ。日本弁護士連合会や国連人権委員会も日本政府に対して同様の勧告をしている。

 しかし現在、行政の助成金は学校予算の3%にすぎない。そこでわれわれは、昨年6月から教育助成金獲得(増額)のための5万人署名運動を開始。12月まで1次分として3万人分の署名を県庁に提出した。

 予算の17%にあたる教育助成金を獲得すれば、われわれはゆうに授業料を無料にすることができる。そのためにも今年も粘り強く、かつ活発に署名運動と行政に対する要請を続けていくつもりだ。

 学校運営事業は至難の業だ。しかし、確固とした財政基盤なくして充実した設備も、授業の無料化も実施することはできない。問題は山積しているが、今後も同胞らの情熱、献身的な協力を励みに、よりよい方法論を模索し、揺るぎない学校運営を行っていきたい。

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