取材ノート

「課外授業」


 私事ながらチャンゴ(長鼓)を習い始めて1年が過ぎた。当初は音を出すのがやっとだったのに、師匠の教え方がよいおかげで、それなりにチャンダン(拍子)も打てるようになった。

 友人記者に誘われてなんとなく始めただけに、最初の頃はさほど積極的ではなかったが、上達するにつれて、その奥深さに魅せられている。

 不思議なもので、その楽しさがわかってからは、チャンゴやケンガリなどの打楽器を使った躍動的な演奏が魅力のサムルノリやプンムルノリがあると聞くと、どこへとなく足を運ぶようになった。

 先日も南で伝統打楽研究所を主宰するプンムル演奏家が、日本でワークショップを開くというので見学に行った。昨年から始めているもので今回が3回目。

 東京・池袋の劇場リハーサル室を借りてのワークショップは2日間、朝から晩までみっちり行われた。参加者は小学生から中高年まで5、60人はいただろうか。関係者によると、同胞も多いが、半数以上が日本人という。リピーターや家族での参加も目立つ。

 参加者の中には朝鮮学校の生徒たちの姿もあった。

 チャンゴやケンガリ、チンなどプンムルノリに使われる思い思いの楽器を持って、練習場内を所狭しと走り回る。今年中級部を卒業したその生徒たちは、チャンゴを抱えて、汗だくだ。

 それでも本場の講師からみっちり教えてもらえるとあって、とても楽しそうだった。

 練習風景を見ながら、民族性を養う近道は、やはり直に民族に触れることではないかと感じた。

 例えば、前述の生徒たちのような3世、4世でも、プンムルノリを1度体験しただけで、自然と民族性が身につく。それは朝鮮学校で言葉や歌を覚え、風習を習うことで日々培われているが、たまにはこうした「課外授業」も効果的ではないだろうか。(聖)

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