資料
京都府知事選候補者への民族学校問題公開質問状と回答
日朝友好促進京都婦人会議(末本雛子代表)が3月1日付で京都府知事選(4月7日)立候補予定者に送った民族学校に関する公開質問状の内容、3月20日までに送られてきた回答(抜粋)を紹介する。
公開質問状 私たちは、日本の社会を構成する一員であり、京都という同じ地域に住みながらもとかく社会的諸権利が制限されている在日外国人、とりわけ在日朝鮮・韓国人子弟のための学校、いわゆる民族学校(朝鮮学校・韓国学園)について、その教育援助は日本学校と同等に扱われるべきだとの考えのもと、民族学校の問題を考え、処遇改善を進めようとの運動を続けてきた。 その立場から、本年4月施行予定の京都府知事選挙に立候補を予定されていると聞き及んでいる貴殿に、以下の点について考えを聞きたく質問する。 記 1. 民族学校に対する教育助成金は、国の制度的援助もないこともあり、他の私立学校と比べ極めて低額であり、そのため学校運営のための学父母の負担が大きなものとなっている。 京都府では民族学校に教育費助成をしているが、現在その水準は全国的にみても上位にあるものではない。そのこともふまえ、教育費助成増額も含めての考えを聞かせてほしい。 2. 国(日本)が教育費助成を行っていないことについていかがお感じか。また、国に対する働きかけについての考えは。 3. 民族学校卒業生について、国立大学は大検合格者以外の受験資格を認めていない。日本学校と同等のカリキュラムで教育が行われている現況を考えると、当然受験を認めるべきだと思うが。また、関係機関へ働きかけの有無についての考えは。 回答 助成額引き上げ検討、国立大受験資格も 森川明氏 1について。民族学校への京都府の助成額は、現状で生徒1人あたり年間約4万7000円余りだ。今後、助成額の引き上げを検討すべきだ。 2について。現在、国は助成を行っていないが、在日朝鮮・韓国人子弟の問題は、歴史的経緯から見ても、国において何らかの対応をすべきだ。今後、府民的な合意にもとづいて、必要な働きかけを行っていきたいと考える。 3について。すでに私学においては、受験資格を認めているところもあり、日本学校とほぼ同等のカリキュラムで教育が行われている現状をふまえ、国立大学においても、受験資格を与える道を開くべきだ。今後、国など関係機関に働きかけを行っていく。 できる限りの支援、府立では受験認める 山田啓二氏 1. 京都府内には現在6校の民族学校があり、生徒数800人を超える規模で、青少年の教育や人格形成に大きく寄与いただいている。このため、厳しい財政状況のもとではあるが、民族学校の建学の精神が軽んじられることのないよう、現行の法制度や補助金制度の枠組みの中で、できる限りの支援や助成額の充実に努めてまいりたい。 2. 独自の建学の理念を持っている民族学校においても、現行法(私立学校振興助成法)制度のもとでどのように対応するか、さまざまな検討が必要と考える。 3. 京都府が設置している府立大学や府立医科大学においては、高卒同等の学力が認められる生徒には大学受験を認めている。 国が民族学校に対して国立大学の受験資格を認めていないのは、現在民族学校が国の学習指導要綱に基づく教育課程編成を行っていないと、国が判断していることによるものと認識している。 「人道的・歴史的」支援、法律精査し方法探る 中川やすひろ氏 JAグループ京都が朝鮮民主主義人民共和国の米・農業技術支援をしているのはご存じのとおりだ。 1995、6年の2年続きの豪雨で(朝鮮が)食糧不足になっていると聞き、96年8月府内JAあげて米を集め、同年9月に引き渡しに立ち会うため最初の訪朝をした。その時、栄養不足の子供たち、さらに農業技術が低レベルにある状況を見て、「農業技術をレベルアップし、収穫量をあげるようにしなければならない」と感じ、以後5回の訪朝は農業技術支援に切り換えた。民族学校についても同じ気持ちでいる。JAグループ京都では近年、民族学校のバザーなどで米や京野菜を販売し、売り上げを寄付させてもらっている。 民族学校への助成や生徒の進学については、わが国の学校教育法が大きな壁になっている。日本の高校が同法の「一条校」であるのに対し、民族学校が「各種学校」であるためだが、昨今は高校野球、インターハイなど一部でその壁が取り除かれ、 規制緩和 の状態にあるといえる。法律をよく精査したうえで、どのようにすれば「人道的」「歴史的」に支援できるかを探って行きたい。 |