人・サラム・HUMAN

次世代の道しるべに

詩集「ナグネの一生」を出版した・韓明錫さん


 74歳で初めての詩集「ナグネ(旅人)の一生」(朝鮮語版)を出版した韓明錫さん。人権協会近畿地方本部顧問を務める韓さんは在日1世。7歳の時、故郷をあとにオモニ、妹とともに、徴用で連行された兄を捜しに渡日、亡国の悲しみを胸に、苦しい生活を余儀なくされた。解放後は一貫して、今日まで活動家として愛国運動と祖国統一事業に貢献。大阪の愛国運動の歴史とともに歩んできた。

 一昨年、かねてからの願いがかない、第2回総聯同胞故郷訪問団の一員として故郷である忠清南道唐津郡ンT川面を64年ぶりに訪問。昔の面影が残る故郷の地を踏み、「情はそんなに湧いてこなかった」と語る韓さんだが、誰よりも熱く、強い故郷への思いは彼の詩集につづられている。

 「私は、詩人でも文化人でもない」と話す韓さん。

 何よりも詩集出版を決意したのは1世が次世代らに何を残すべきかという尊い思い。愛国運動に身を投じ歩んできた日々、生活の断面が収められている詩集には、異国の地に身を置いても決して自らの根本を忘れてはならぬとの熱い思いと願いが込められている。

 「この詩集が次世代の愛国事業を担う若い3世、4世たちに1世の思いと歩んできた道を知り、在日運動を発展させる道しるべになれたら幸いです」

 まだ、整理されていない作品がたくさんある。力を振り絞って整理していきたいと意欲を燃やす。

歌で分断の悲しみを越える

南の歌手 李定烈さん

 先日、東京・赤羽で行われた「林秀卿とともにする平和コンサート『同行』」に出演。力強く甘い歌声で観客を魅了した。中でも同胞客に特に好評だったのは、在日朝鮮人詩人の故・許南麒さんの詩「子供たちよ、これがウリハッキョだ」をアレンジした歌だった。「厳しい状況の中、明日への希望を失わない子供たちと教職員に捧げます」と、一言を添えた。

 昨年夏、平壌で開かれた2001民族統一大祝典に南側代表として参加。その際、祖国訪問中の朝高生たちに遭遇した。ネイティブの耳には馴染みのないイントネーションで、一生懸命に、しかも楽しそうに母国語での会話を楽しむ学生たちの姿に心打たれるものがあったという。祝典期間中は烽火大劇場で公演。80年代後半、南朝鮮の学生運動を盛り上げてきた歌声を北と海外の同胞たちに披露した。32歳。

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