閑話休題

もう一つの「アリラン」

日本の中学校でコンサート


 2人の子供が10数年前にお世話になった保母さんからの誘いで、日本の中学校の吹奏楽部の演奏会に出かけた。

 足立区立伊興中学校。都の吹奏楽コンクールで5年連続金賞に輝いており、同部の名物顧問は5年前に赴任してきた宇野先生(40)である。「音楽大好き、生徒大好き」という明るい先生だった。

 楽しいコンサートだった。開放された学校らしく生徒だけでなく、プロの演奏家や宇野先生の教え子で、音大の学生たちも友情出演して、次々とクラシックやポップスなどの演奏を披露する。

 そしてアリラン。東京都マーチングフェスティバルで昨年の金賞に輝いた。演奏に合わせて女子部員7人がチマ・チョゴリを着て、扇の舞を披露する。オレンジ色のチョゴリ、白のチマは全部自前。朝鮮学校のオモニを友人に持つ部員のお母さんが、作り方を教わり、お母さんたちで手間をかけて縫った。扇は宇野先生がインターネットでソウルから取り寄せた。チマ・チョゴリが出来上がった時、生徒たちからは「着るのがもったいない!」と感嘆の声が上がったと言う。

 「いかにも朝鮮らしい、派手で大きな扇を持って、可愛らしい民族衣装を身につけ華やかに踊る姿にご注目ください」と宇野先生のアナウンス。

 力強い演奏が響く。朝鮮民族の代表的な民謡に心を寄せ、民族衣装を身につけて、演奏し、踊る姿。地域の300人ほどの聴衆からも何度もカーテンコールがかかった。

 窓の外には、風に舞い散る桜の花びらが。余韻が残るもう1つの「アリラン」だった。 (粉)

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