平壌 20回目迎える4月の春親善芸術祭

60余カ国、90余の団体が参加


 金日成主席の誕生日を記念して1982年から行われてきた4月の春親善芸術祭。今年で20回目を迎える。

 主席の誕生90周年を迎える今回の祭典には、世界5大陸60余カ国から国際・国内コンクール受賞者と名優で構成された90余りの芸術団体(約1000人)、そして海外同胞芸術団と朝鮮の芸能人が参加する予定だ。

 祭典では声楽、舞踊、器楽、サーカスなど多彩な演目がひろうされ、優秀な団体と個人に賞状と賞金、賞が授与される。

 期間中、「第5回現代と民族芸術に関する美学討論会」も開催される。

 祭典参加者は平壌市内と近郊の景勝地を参観。また今年は大マスゲーム・芸術公演「アリラン」も鑑賞する予定だ。

 一方、すでに平壌入りし初演の幕を上げた日本で活動する南朝鮮の歌手、金蓮子さんは8日、市内の烽火芸術劇場で2回目の公演を行った。

 「お会いできてうれしいです」の歌で始まった公演では、「女性は花」「臨津江」や啓蒙期の歌謡などが披露された。

 なお、金正日総書記は10日、金蓮子さん一行と会見した。総書記は一行の平壌訪問を熱烈に歓迎し、温かい雰囲気のなかで談話を交わし、一行のために夕食会を開いた。(朝鮮通信)

日本から参加する3氏の思い

 4月の春親善芸術祭に日本から参加する、舞踊家の鄭明子さん、日朝音楽芸術交流会会員でピアノを教えるなどの音楽活動を行っている藤本幸さん、同じく歌手の文屋淳さんに話を聞いた。鄭さんはソウルと東京で研究所を開き後進の指導にあたっている。また、藤本さんと文屋さんは近畿地方を拠点に音楽活動を行っている。

理解し共存すること、掛け橋の役割できれば

鄭明子(舞踊家)

 北に行くのは昨年に続き2度目だが、公演は初めて。うれしいと同時に大きな責任感を感じている。

 今回は「歓喜」と題して、分断という歴史の傷みを乗り越え、南北が互いに共存し助け合うべきだということを、踊りを通じて伝えたい。

 ひとつになるということはそう簡単なことではないが、私は芸術、具体的には踊りを通じて北の人々との交流を深めたい。それが例え小さな針の穴でも、いつしか大きな川の流れにつながればと願う。私の活動が統一の一助になれば幸いだ。

 昨年訪れた際、同じ言語を話すひとつの民族だと実感した。今回はより多くを見て、私なりに理解を深めたい。

 北の舞踊は動、南の舞踊は静だと思う。その2つが合わさればより良いものができるだろう。この機会に北の舞踊を吸収し、南の舞踊も伝えたいと思っている。

 とにかく互いに理解し合い、認め合うこと。そこからすべてが始まる。

 また、日本に拠点を置いて活動しながら南北双方を見れる立場から、掛け橋のような役割ができればと思う。(談、文責編集部)

市民レベルの交流を

藤本幸(音楽家)

 92年に初めて出演して以来、ソロや伴奏などで祝典を盛り上げてきた。今回で9回目の参加だ。

 朝鮮の音楽家とは、政治・思想を越えて文化・芸術的な交流を行っている。親切で、学ぶことも大変多い。

 一方で、一般市民の生活に触れる機会も多くあった。私たちが心を開いて接することで、それまでわからなかったこともわかるようになった。家族団らんの輪にも自然に溶け込め、朝鮮を訪れる日本人の中でもとても貴重な経験をしてきたと思う。そのせいか訪朝のたびに、また行きたいと思う。

 これからも朝鮮の文化、人々の生活を肌で感じながら、市民レベルの交流を深めていきたい。

歌を通じて近い関係に

文屋淳(歌手)

 99年以来、今年で3回目の出演となるが、金日成主席の生誕90周年を記念する祝典に出演できてとても光栄だ。

 熱唱することで、遠い存在となっている日本と朝鮮の関係を近い存在にしていきたい。

 両国の社会制度は違うものの、互いの制度を尊重しながら理解を深め、共有し合える文化・芸術を通じた交流を深めていくことが大切だ。実際に朝鮮の人と触れ合うことで、親近感も生まれた。朝鮮に対する日本のマスコミ報道は正されるべきだと思う。

 私たちの行っているような地道で意義深い交流が、日朝の明るい未来を切り開いていく大きな1歩となると確信している。

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