医療−最前線

糖尿病性網膜症


 糖尿病性網膜症は、治療の成績は向上しているのに、失明する人がなかなか減らないやっかいな病気。

 重症になるまで自覚症状もなく、手遅れのケースも多い。早期発見、早期治療には内科医と眼科医など関係者の緊密な連携とともに、糖尿病患者自身がこの病気をもっと知る必要がある。

 糖尿病性網膜症の症状は3段階で進む。@高血糖が進むと血液の流れが悪くなり、眼底の毛細血管がはれたり、わずかに出血したりするA血管が詰まり、網膜の一部が酸欠状態になるB放置するとそこに酸素を送りこもうとして「新生血管」ができる。

 危ないのはBの段階。「新生血管」ができて、そこから出血したり、網膜はくりを起こしたりすると失明の危険性が大きくなる。

 現実には糖尿病性網膜症で視力を失う人は毎年3000人にも上る。自覚症状がないため、重症になるまで、病院に行かない患者が多いためだ。

 厚生省の糖尿病実態調査(97)によれば、「糖尿病が強く疑われる」人は全国で690万人。しかし、治療を受けているのは45%に過ぎない。

 これらの数字の結果から言えることは、自覚症状が出てから病院に行くのは遅いということ。早期治療を心がけたい。

 さらに内科医と眼科医の連携が重要である。地方自治体によっては、両者の連携を行政的に促し、糖尿病性網膜症の早期治療の態勢づくりに乗り出して、効果をあげている所もある。(李秀一・医療従事者)

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