詩人に
一編の詩 それが
新しい世界を生み出せねばならぬと 気づかせてくれた時
詩人よ、そなたの存在が
はじめて宇宙でかけがいのないものになる
干からびた田んぼに蛙の鳴き声が必要なように
新しい世界というものの中で
心と体がはなればなれのまま景色だけうたうのか
詩人よ、そなたの命は
吐き気のするような片輪のふりをまだするつもりか
いつの間にやら欠けた太陽が昇りまた沈む
詩人よ、そなたの栄光は
狂った犬の尾を夢中で踏む子どものような心になって 夜も昼も
新しい世界を生み出そうと踏み出したその足跡が詩となる時に訪れる
蝋燭の火に舞い降り 焼け死んでもなお美しい蝶になれ
リ・サンファ 1900〜1941。代表作「奪われた野にも春はくるのか」など。国を奪われた中での詩人たちの奮起を願う作品。「韓国の名詩」収録。(訳・全佳姫) |