月間平壌レポート  2002.4

時代を切り開いた誇りにあふれ

金日成主席誕生90周年を最大規模で記念


 【平壌発=姜イルク記者】 朝鮮は金日成主席誕生の4月15日を「前例のない規模」(労働新聞)で祝った。金日成主席誕生90周年に際して、1年にわたり創作されたマスゲームと芸術公演「アリラン」が上演され、60カ国から100団体が参加した史上最大規模の第20回4月の春親善芸術祭が開幕するなど、数多くの政治・文化・体育行事が盛大に行われた。金日成主席誕生90周年と朝鮮人民軍創建70周年を迎える4月の市内は、「慶祝」などの文字と金日成花の装飾物、ネオンとイルミネーションで彩られ、祝賀ムード一色に染まった。この雰囲気の中で、停滞していた北南関係が原状回復することになり、米国、日本との関係も動きを見せはじめた。4月の祝日を迎えた市民の表情には、時代を切り開いた誇りと未来に対する希望にあふれている。

信念と意志曲げることなく

 金正日総書記は、自身の誕生60周年を迎える2月16日に盛大な祝賀行事を行うことを引き止め、太陽節を民族最大の名節として記念するよう指示したという。

 この指示通り金正日総書記は、例年とは異なり自らが錦繍山記念宮殿を訪れ金日成主席に敬意を表し、誕生90周年記念中央報告大会にも参加した。

金日成主席の誕生90周年を記念し、平壌ではさまざまな行事が行われた

 祝賀行事を通じて朝鮮は、「領導者と人民が渾然一体となり、革命の道を切り開いた領袖の偉業を最後まで完成させようとするチュチェ朝鮮の確固たる信念と崇高な意志」(金永南最高人民会議常任委員長)をアピールした。

 「偉大な領袖金日成同志は永遠にわれらといっしょにいる」。金日成主席の逝去後、朝鮮人民はこのスローガンを掲げて、金正日総書記を中心に団結し、社会主義を固守発展させてきた。主席が逝去してからの8年間、どんな困難があっても朝鮮人民はこの信念と意志を曲げることはなかった。

 この間、朝鮮は金正日総書記の指導下、国防を強化し、経済発展の土台を築き、対外関係を拡大、また北南関係を根本的に改善、「強盛大国」建設をスローガンに掲げるに至った。

 昨年7月からは、金日成主席誕生90周年を政治的熱意と労力的成果で迎えようと、全朝鮮人民が一丸となって社会主義建設に拍車をかけてきた。その結果4月には黄海南道10万町歩土地整理の完工、价川―台城湖水路工事での土水路の完工など、各地の各単位で大きな成果を収めた。これをもって今年の太陽節を史上最大規模で記念した。

 18日付の労働新聞は、金日成主席誕生90周年を盛大に記念した誇りをもって、強盛大国建設の新たな高揚を成し遂げよう、とさらなる奮発を呼びかけている。

誇りと希望

 「お久しぶりです」

 祖国平和統一委員会のメンバーと久々のあいさつを交わしたのは3月下旬。去年の秋頃から北南関係が停滞していた関係で、平壌支局の記者は、北南問題の行事を指揮するメンバーとは長らく顔を会わせていなかった。

 彼らと再会したのは、大規模な合同戦争演習が南朝鮮で行われていた時期に催された反米キャンペーン(群衆糾弾集会)でのことであって、彼らの表情もいくらか硬かった。

 しかし、4月3日から金大中大統領の特使が、朝鮮半島情勢と北南関係問題を協議するため平壌を訪れた際は、表情も明るかった。関係者は「情勢はこれから良くなるだろう。北南関係が活性化する今後は、(平壌支局記者と)会う機会も多くなる」と、語っていた。

 金正日総書記の金大中大統領特使一行との会見(4日)と、金容淳書記と特使との会談の結果、発表された共同報道文で、双方は、「6.15北南共同宣言の基本精神に合致するよう、互いに相手側を尊重し緊張状態が作られないよう努め」(第1項)、「この間、一時的に凍結された北南関係を原状回復することに」(第2項)合意しながら、対話と協力事業を積極的に推進することにした。

 また3月中旬には国連駐在朝鮮代表と米国務省の朝鮮半島和平交渉担当特使が朝米関係で提起されている一連の問題を討議し、4月末には朝・日赤十字団体の会談が行われるなど、米国、日本との関係でも動きを見せはじめている。

 人工衛星が打ち上げられた朝鮮民主主義人民共和国創建50周年、「苦難の行軍」の勝利が宣言された朝鮮労働党創建55周年など、今まで大きな記念行事に際して画期的な出来事が起こってきた。この経験から市民は、以前から、金日成主席誕生90周年を機に転機がやってくる、いや自身の努力でもたらすと希望を込めて語っていた。4月の祝賀ムードが広がる中、対外的にもこれが実現した形となった。

 市民は誇りと希望に満ちていた。が、手放しで喜んではいない。市民は、「統一はあくまでも民族の力で成し遂げなければならない。反統一勢力による障害を取り除き必ず統一を実現させなければならない」と語っていた。

新曲「われらはひとつ」

 朝鮮では最近、新曲「われらはひとつ」が大々的に普及さている。

 民族も言語も歴史も文化もひとつであることを強調しながら、統一を成し遂げようとする民族の意思が込められた曲は、北南共同報道文が発表された翌々日から連日のようにテレビ、ラジオに流され、新聞を通じても紹介されている。

 「われらはひとつ」は、マスゲームと芸術公演「アリラン」4章「統一アリラン」の主題歌でもあり、4月の春親善芸術祭に参加した金剛山歌劇団が合唱し、南朝鮮歌手の金蓮子さんも熱唱した。

 最近の行事で必ず登場する「われらはひとつ」は、市民の中でも幅広くうたわれている。

 4月5日の共同報道文で定められた北南間の対話と協力事業は、金剛山で28日からの第4回離散家族・親せき面談から始まる。そのため離散家族らは18日から平壌に集結し始めた。彼らも統一の願いを込めて「われらはひとつ」をうたっている。再会の日を待ちこがれながら。

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