きな臭い「有事法制」国会審議


 きな臭い。うさん臭い。もちろん「有事法制」の国会審議である。50年も眠っていたものをなぜ、また持ち出してきたのか。

 答えは明快。日本が本格的な戦争態勢に突入するということなのだろう。

 昨年の9.11以降、米国は「テロとの戦い」の名のもとに、アフガンでの無差別爆撃を断行、イスラエルによる民衆虐殺を黙認してきた。東アジアでも同じことを起こそうという狙いである。

 その主役はもちろん「スズメの脳みそ」のブッシュ大統領と「みんな借り物だった脳みそ」の小泉首相コンビ。「ショウ・ザ・フラッグ」の掛け声の下に、米国の戦争にいつでも日本が参戦できる態勢を整えてきた。「日米防衛協力に関する新ガイドライン」関連法、国旗・国歌法、盗聴法、改正住民基本台帳法、憲法調査会設置法、テロ特措法などを次々と成立させ、その仕上げが「有事法制」、そして次に来るのが、徴兵制であろう。

 「有事法制」というのは、「日本の軍事行動を円滑で効率的にするための法的措置」(加藤周一氏)であり、端的にいえば、全国民、全土を国家の意のままに戦争に総動員しようとするもの。

 それを小泉首相は「備えあれば憂いなし」などとまるで自然災害の備えのように説明する。こうした度し難いうそやまやかしがまかり通るところが、日本の政治の現状だ。

 戦争仕掛人はいつでも、「平和」や「正義」を口にする。「今から侵略します」とは誰も言わない。反戦平和を生涯貫いた画家丸木俊さんが「戦争を体験していないから戦争が分らない」と言った子供に「体験したときには、あなたは死んでいるのよ」と諭したことがあった。そんな時代が来なければいいが…。(粉)

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