平壌で日本の過去清算求めるアジア地域シンポ

被害国に必ず謝罪、補償を、参加者ら一致して要求


 【平壌発=本社金志永、羅基哲記者】朝鮮「従軍慰安婦」・太平洋戦争被害者補償対策委員会(従対委)主催の「日本の過去清算を要求するアジア地域シンポジウム」が3、4の両日、平壌市の人民文化宮殿で開催された。朝鮮で植民地支配をテーマにした本格的な国際会議が開かれたのは、従対委結成(1992年)以来初めてのこと。シンポジウムには北南朝鮮、中国、日本、インドネシア、フィリピン、米国、中国台北、総聯など各地の関係団体と被害者、法律家、研究者らが参加し、これまでの運動と研究の成果を確認・共有し、今後の共同・連携した運動の可能性を探った。また、北南朝鮮、海外の団体が互いの立場を確認し、連帯して日本の過去清算を求めていくことをうたった共同声明(時事欄に内容)、被害者と被害国への公式謝罪と十分な補償を小泉総理に求めた抗議の手紙と、ロビンソン国連人権高等弁務官に送る手紙が採択された。

国際的な協議機関

 シンポジウム初日、従対委の黄虎男書記長の開幕演説、日本の戦争責任を求める関係団体8人の発言、従対委の洪善玉委員長の基調報告に続いて、日本軍の性奴隷にされた北南朝鮮、インドネシア、フィリピン、台北の被害者、強制連行者らの証言が行われた。

シンポジウムの参加者

 洪委員長は報告のなかで、@旧日本軍によるアジア地域の被害実態A過去清算に対する日本の態度と立場B日本の過去清算を早めるための今後の課題――について言及した。そして、被害者らが日に日にこの世を去り、生存者らも晩年の生活を送るようになっていると述べながら、彼らの人権と名誉を回復させ、日本の過去清算を1日も早く実現させるために、国際的な協議機関を発足させようと提案した。

 北と南の被害者らは、白昼に強制連行、拉致され、日本軍に女性としての尊厳を奪われたと述べながら、その犯罪行為について日本は謝罪と補償を行うどころか、歴史をわい曲した教科書をつくろうとしている、と非難の声を高めた。

 次に全体会議が開かれ、「日本の戦後補償―裁判から立法まで」「南での裁判と立法の現況」「日朝国交正常化と『日韓条約』の再検討」「国連と国際労働機構での軍『慰安婦』問題のための運動」「朝・日両国の過去清算が持つ国際的意味について」と題する報告を、各団体の関係者らが行った。

証言をビデオに記録

 2日目には、@日本軍「慰安婦」A強制連行・強制労働B日本の歴史わい曲・軍国化・右傾化の3つの分科会が行われた。

展示された写真を見て回る参加者たち

 @分科では、2000年12月に東京で開かれた日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷を契機に、日本政府に対して植民地支配の謝罪と補償を求める運動が国際的に広がっていること、日本が設けた「民間基金」は被害者、被害国への公式な謝罪と補償の責任を回避するものであることなどが指摘された。

 A分科では、高齢化した被害者、日本人目撃者などの証言をビデオなどに記録し、未来を担う子どもや研究者たちに残すことの必要性などが強調された。

 B分科では、日本が歴史教科書をわい曲しようとする理由は、軍国化の道に進もうとするところにもあり、それらを阻止するためにもアジアの人々が連帯して運動を展開していくべきことなどが強調された。

 最後に全体会議が行われ、小泉総理に送る抗議の手紙と、国連人権高等弁務官に、弁務室にすでに上程されている報告と勧告、決議に基づいて日本の戦時犯罪を追及し、被害者たちの名誉と尊厳を回復させるための専門分科を設けることを求めた手紙を採択した。

 また北と南、海外朝鮮人の団体による共同声明が採択され、日本政府に対し@過去の謝罪と補償A戦争犯罪の真相調査・公開、責任ある者の処罰B在日朝鮮人への差別の中止、海外侵略の野望放棄、朝鮮の統一に妨害になることの中止――を強く求めた。

 閉会の辞を述べた黄書記長は、「アジアの被害諸国が、日本から必ず謝罪と補償を受け取らなければならないということを、この会議を通じて確認した」と会議を総括した。

北南各代表が対面

アジア地域シンポジウムに参加する北南朝鮮各団体の対面が2日、平壌高麗ホテルで行われ、「従軍慰安婦」・太平洋戦争被害者補償対策委員会、アジア女性と連帯する朝鮮女性協会、日帝の朝鮮占領被害調査委員会メンバー、反核平和のための朝鮮人被爆者協会代表と尹貞玉名誉代表をはじめとする「韓国挺身隊問題対策協議会」メンバーら南朝鮮の各民間団体代表が参加した。(朝鮮通信)

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