閑話休題

「ダメでもともと」

清水澄子さんを支え続けた言葉


 女性同盟結成55周年記念特別セミナーが、同足立支部の主催で、11日、東京朝鮮第4初中級学校で開かれた。

 セミナーには、前参議院議員の清水澄子さんが、約1時間半にわたって、日朝関係や女性運動などについて、熱く語った。「同胞だけの聴衆の前で講演したのは初めて」という清水さんだったが、半世紀を越える豊かな体験談は、聴衆たちの耳を一気に引き寄せた。

 「女性運動の先駆者として、ローザ・ルクセンブルクはじめ欧米の女性たちのことは知っていたが、隣国については全く無知でした」と冒頭での率直な反省の弁。

 「72年、共和国を訪問し、朝鮮女性の解放闘争とその実態にふれた時には、心臓の止まるような衝撃を受け、新たな朝鮮観に目を開かれた。革命歴史博物館で日本の植民地支配がいかに過酷なものだったかを知り、同時に抗日武装闘争をたたかった人々の存在を知らされた」

 この触れあいが、その後の朝鮮問題への献身的な取り組みの原点になった。記憶に新しいのは、95年の阪神大震災の東神戸初中(当時)の校舎再建と伊丹初中の防音装置設置に尽力したこと。

 「震災の様子をテレビで見て、朝鮮学校のことが心配でならなかった。政府の災害復旧対策の対象からはずされていると思ったから。すぐ現場に飛んで『絶対にあきらめてはダメ。ダメでもともとなんだから』とオモニたちを励ました」

 「ダメもと」。女性運動家として長い茨の道を歩んだ清水さん自身を、支え続けた言葉でもあった。(粉)

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