人・サラム・HUMAN

「もっとも普遍的な愛の文学」

三越左千夫少年詩賞特別賞受賞・李芳世さん


 日本児童文学者協会主催の2002年度文学賞贈呈式が18日、東京都新宿区神楽坂の日本出版クラブ会館で開かれ、第6回三越左千夫少年詩賞特別賞が在日同胞詩人・李芳世さん(53)の「こどもになったハンメ」に贈られた。

 この賞は代表作「かあさんかあさん」「おりてこいおほしさま」などで知られ、75年の生涯を閉じた童話作家・故三越左千夫氏の偉業を顕彰して優秀な詩人に贈呈されるもの。

 18日の贈呈式では、日本児童文学者協会の藤田のぼる会長が、李さんに賞状と賞金を手渡した。また、詩人・高橋忠治さんは受賞作の一節「いっぱいたのしそうにはなしする/ハンメはこどもにもどったんや/うまれたところへもどったんや/あいとうてきっともどったんや」を紹介しながら、「李さんの作品は、愛情に満ちたいいハンメ、アボジ、オモニ、子供たちが描かれた、最も普遍的で世界に通じる愛の文学である」と称えた。

 李さんは受賞のあいさつで「この作品は、差別と偏見の中でも、明るく、たくましく朝鮮学校に通う子供たちの姿を描いたもの。この受賞は朝鮮学校の子供たちを励ます力強いエールであります。これからも、在日や日本の人たちはもちろん、祖国の統一にむけて、南北朝鮮の人たちにも読んでもらえるよう、朝鮮語と日本語による作品を発表していきたい」と語り、会場のさかんな拍手を浴びた。

 「こどもになったハンメ」の購入先は TEL 06・6782・7700へ。

過去と現在の対話こそ

「同時代史学会」発起人 進藤栄一さん

 「同時代史学会」創立準備大会が、さる4月27日、東京都内で開かれた。発起人を代表して、あいさつにたったのが進藤栄一・筑波大学教授。

 「歴史とは過去と現在の生き生きとした対話だ」という歴史家E・H・カーの言葉を引き合いに、今秋に予定されている新学会設立に向けて、具体的な活動に入りたいと意欲的に語った。

 進藤さんは「現代アメリカ外交序説」や「現代紛争の構造」などの著書も多い、国際政治学の権威。

 近年、力を入れているのは、憶測と偏見、不正確な記述に基づく「北朝鮮像」が闊歩する日本の現状をいかに払拭するかと言うこと。とりわけ、「朝鮮ウォッチャー」と称する者らが、民族べっ視と全体主義独裁論をふりかざしながら、安手の人道主義的人権論を介在させ、対日侵攻シナリオを結びつける北朝鮮脅威論を批判する。アジアとの共生と外交の復権を説いてやまない。

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