春・夏・秋・冬

 15日、沖縄が米国から日本に返還されて30年を迎えた。19日には日本政府と沖縄県が共催した記念式典が催され、そこでベーカー駐日米大使は「日米同盟が効果的であるために、沖縄は非常に重要な地域だ」と強調した

▼「効果的」とはどのようにも取れる曖昧(あいまい)模糊とした表現だが、本音は沖縄なくして、日米同盟は機能しないといいたかったのだろう。米軍基地撤去を強く求める沖縄の世論に配慮しただけに過ぎない

▼1952年4月、サンフランシスコ条約の調印によって日本は国際社会への復帰を許されたが、米国はその時に見返りを日本に求めた。日本が米国に服従することを誓った日米安保条約の調印である。つまり、サンフランシスコ条約は日米安保条約なしには締結されなかった。それが前提だったことは当時の吉田茂首相の回想などでも明らかにされている

▼こうした経緯からしても、ベーカー大使の「効果的」という発言は、日米安保条約の軸をなすといっても過言ではない沖縄の米軍・基地の存在(むろん核武装している)が、両国を同盟関係たらしめている「非常に重要な」因子であることを再認識させるためのものであったことがわかる

▼沖縄を起点にして円を描くと、日本列島(大阪・東京)、朝鮮半島(ソウル・平壌)、中国大陸(北京)、フィリピン、インドシナ半島がほぼ収まる。戦闘機を発進させると平壌、北京は2時間前後である。中国、朝鮮をアジア軍事戦略のターゲットにしている米国にとって沖縄はその遂行のための「効果的な」場所なのだ。(彦)

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