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平壌で開催された「日本の過去の清算を求める国際シンポジウム」に参加したフィリピンの元「従軍慰安婦」フリア・ポラスさんは、日本の参加者にある手紙を託した。「国民基金」とともに渡された小渕首相(当時)の「お詫びの手紙」である。ポラスさんは、民間から寄付を募る形での償い金は、日本政府の真の謝罪と補償を示すものではないとして、一貫して反対してきた。だが、夫が病気になりやむをえず「基金」を受け取った。それでも、「お詫びの手紙」だけは拒否した
▼シンポでその話をする時、彼女は感極まって涙声になった。インドネシアのマルディエムさんも、つらい体験をとつとつと話した。台湾の鄭陳桃さんは、日本語で証言を始めたが、涙が先に立ちそれ以上話すことができなかった。涙ながらに語る北の金英淑さんの横で、南の李容洙さんはずっと手を握り続けた ▼土屋公献・元日弁連会長は、「日本政府は36億円の資金をつぎ込んで、多額の広告宣伝費を費やして、『謝罪と補償をしない』5年という時間を買ったのではないか」と手厳しい ▼被害者たちが納得しない「謝罪」は、本当の謝罪にはならない。残りわずかな人生、彼女たちが求めているのは、お金よりも人間として、女性としての尊厳を取り戻すことだ。そのためには、日本政府が国として謝罪する以外にない ▼余談になるが、シンポでつらい体験を語り、疲れきった元「慰安婦」たちにとって、励みになったのが大マスゲーム・芸術公演「アリラン」だったという。何だかほっとした気分になった。(聖) |