それぞれの四季

蜂退治

李明玉


 1年生の娘が熱を出し、学校を休んだ。ぐったりしている彼女と、午前中によく眠る3カ月の妹をおいて、勝手口の裏を片付けていた。穴が15個ほどの蜂の巣を見つけた。小さなビニール袋を取りに戻ると、玄関から全速力で走り帰った息子が「なに?」と聞いてくる。不覚にも正直に話してしまった。

 棒で叩き落して袋に入れ、勝手口から急いで入る。2人で観察していると、奥から上の子が「怖いから捨てて」と泣き声を出す。円型の中心は大きめの蜂の子で外側は卵と、徐々に幼くなっている。人家に巣を作るのは、それなりの事情があってのことと、少し胸が痛んだ。しかし、私には大義名分がある。やがて現れるであろう成虫たちから、わが子を守らねばならないのだ。

 実家の母が、ベランダにある蜂の巣に蚊用の殺虫剤を大量に噴きかけ、すばやい身のこなしで部屋に入り、右往左往する蜂をじっと見つめていた姿を思い出した。上の子が刺されれば、我慢強さゆえにいっそう辛いだろう。息子でも大変だ。目の不自由な人のために、画面を説明する副音声を流すテレビ番組があるが、彼はそれに近いのだ。解説付きの泣き声がいつ終わるかわからない。末娘なら命にかかわる。私だとしたらどうだろう。オンマ大好きな子供たちのことだから、小さな胸を痛め、今日のご飯作ってくれるかな、などと、わが身を案じたりもするだろう。

 息子が「つぶしてもええやろ」と言う。やめなさいと言い、取り上げて袋の口を結びゴミ箱へ。「死んじゃうで」と不思議そうだ。「いいの」と私は説明できない。(主婦)

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