体育科学院・体育科学研究所 リ・ドンギュ副教授に聞く

世界トップレベルの実力

朝鮮の女子サッカーチーム


 5月6、7の両日、朝鮮を訪問した国際サッカー連盟(FIFA)のジョセフ・S・ブラッター会長は、本社記者とのインタビューで朝鮮の女子サッカーチームに注目していると、その実力を高く評価した。来年、中国で開催される女子W杯に向けレベルアップをはかる朝鮮女子サッカーチームの現況について、朝鮮語月刊誌「祖国」6月号に掲載された体育科学院・体育科学研究所のリ・ドンギュ副教授のインタビューを翻訳・紹介する。

 ―女子サッカーの歴史と現在のすう勢について。

 女子サッカーは男子サッカーに続き19世紀末、イングランドで広まり始めた。20世紀に入り、女性の参政権運動と共にヨーロッパや米大陸の各国でも普及していった。

 しかし、サッカーが女性の健康に害を与えるという間違った見解によって、1925年頃から第2次世界大戦終了まで停滞し、その後1950年末から60年代初にかけてふたたび世界各国に広がり始めた。

 その急速な普及と人気によって、FIFAも70年代から関心を持つようになり、80年代になって男子サッカー同様国際サッカー競技の正式種目に決定。91年から4年に1度の女子W杯開催を決定した。第1回は中国で開催され、これまで3回行われた。朝鮮は、99年6月、米国で行われた第3回に参加し、実力を遺憾なく発揮した。

 女子サッカーは96年のアトランタオリンピックから正式種目に採用され、世界的に急速に広がりつつある。歴史は新しいものの、各国のチームごとにゲーム展開がはっきりしており、それが各チームの伝統になりつつあるというのがこんにちのすう勢となっている。

 現在、その水準はどんどん高まっており、男子サッカーとの差も少しずつ縮まりつつある。

 ―朝鮮女子サッカーの出発、水準は?

 朝鮮では80年代から体育界の一部で広がり始め、次第にその数が増えて86年に各体育選手団に正式にチームが発足した。このように、朝鮮の女子サッカーは誕生して間もないが、金正日総書記の指導を契機に急速に発展していった。

世界もその実力を認める朝鮮女子サッカーチーム

 総書記は、サッカーは朝鮮民族の体質にも合い、体育ではサッカーが基本としながら「女子サッカーも発展させなければならない」と指摘。数回にわたり女子サッカー試合を観戦し、戦術と技術、トレーニング法にいたるまで事細かく指導された。

 こうして朝鮮の女子サッカーチームは、第8回アジア女子サッカー選手権大会で4位になったのを皮切りに、第9回、第11回、第12回大会でそれぞれ2位、3位を獲得。他のさまざまな国際競技でも好成績を残した。

 朝鮮の女子サッカーがこんにち、世界的水準に達していることは、昨年12月台湾で行われた第13回アジア選手権を通じてもわかると思う。87年の第6回から第12回のアジア選手権まで7回連続で優勝していた中国を3―1、決勝では日本を2―0で下し優勝した。第3回女子W杯では2位になった。めざましいスピードで力をつけている朝鮮の姿を全世界に知らしめた。

 こうした活躍ぶりを目のあたりにした世界各国のサッカー専門家や愛好家たちは、朝鮮女子サッカーを評して「世界女子サッカー界の一大事件」「女子サッカー界の『彗星』」と驚きを隠せないでいる。

 ―今後、国際競技での活躍の展望は?

 21世紀の国際競技で、朝鮮の女子サッカーが素晴らしい成果を収めることを自負している。朝鮮女子サッカーチームの特徴は、高い水準での集団主義。

 世界トップレベルの女子サッカーチームを見ると、選手たちはフィジカル面およびテクニック面で素晴らしいものを持っているが、その反面、相対的に全員ディフェンスが弱いように思える。

 しかし、朝鮮の選手たちは闘志と忍耐力、そして集団主義をベースに、全員ディフェンスとオフェンスを重視しながら、速攻を得意としている。

 また平均年齢が若く、一定の国際競技経験も積んでいることから今後、アジアでの競技はもちろんオリンピックやW杯でも期待に応えていくだろう。

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