春・夏・秋・冬

 NHKの朝の連続ドラマは、時計代わりに観ている人も多いと聞く。とは言え、ついついドラマのストーリーに見入ってしまうのも事実。4月から始まった「さくら」もそんなドラマだ。ハワイから飛騨の高山に中学校の英語教師として赴任した日系アメリカ人の女性、さくらが主人公である。文化や習慣の違いを乗り越えて、彼女が祖国日本で奮闘する姿が描かれる

▼3日からの週では、さくらの家族が夏休みを利用し、ハワイから日本に来て繰り広げるエピソードが中心だった。7日の放映分では、さくらの父(日系3世)が日系1、2世の歴史について、中学生たちの前でとうとうと語っていた

▼さくらの父は言う。――1世は完全に日本人だった。2世になると、子どもの育て方や人生観などは人それぞれだ。だが、ひとつ共通していたことは教育を大切にすることだった。だから日系人には教師を職業にする人が多い――正確には忘れてしまったが、確かこんな内容の話をしたと思う。異国で民族性を守っていくには、民族教育が大切だということだろう

▼在日同胞がこれまで一貫して追求してきたのが、異国で民族性を守るということ。そのためには教育が大切だと実感していた1世たちは、国語講習所から始めて朝鮮学校を建設し、言葉や文化を教え伝えてきた。それだけではない。民族学級や土曜児童教室などの形で民族教育を守ってきた

▼さくらの父の話は、まさにそのとおりだと思う。であるならば、民族教育を守る在日同胞たちの思いが理解できないはずはないのだが…。(姫)

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