手取り合い統一実現を

兵庫の総聯・民団本部、姜萬吉氏の講演共催


 総聯兵庫県本部と民団兵庫県地方本部が9日、6.15共同宣言発表2周年を記念し、姜萬吉・尚志大学校総長の講演会を神戸市のラッセホールで共催、約400人の同胞が集まった。両本部は6.15共同宣言が発表された1カ月後の2000年7月、「第30回神戸まつり」にワンコリア統一行進団として参加し、その意志をアピール。無年金同胞の福祉金の増額を求める行政への要望も合同で行ってきた。この日の講演会は2年間に培ってきた信頼関係をさらに深めていこうと企画されたもの。両本部は合意文も発表し、今後も同胞の生活安定、新世代の民族性を育むため手を取り合っていくことを約束した。

李文伊・総聯委員長(左)、具謨俊・民団団長(右)とともに「われらの願い」を熱唱する姜萬吉氏

 講演に先立ち、李文伊・総聯本部委員長、具謨俊・民団本部団長が主催者を代表しあいさつした。

 李委員長と具団長は、統一を成し遂げようとの信念と理念をもってほかの地域に先んじて手をつなぎ、信頼関係を構築してきた日々を振り返りながら、今後も同胞の生活安定、地位向上のために努力していくとの意志を表明した。

 来ひんあいさつをした井戸敏三・兵庫県知事は、「総聯と民団が互いの立場を乗り越え、統一のために立ち上がったことに心から敬意を表する」と語った。

 講演に立った姜萬吉氏は、6.15共同宣言発表の際、金正日総書記と金大中大統領が固い握手を交わした場面を直接、目撃した感激を吐露。「あの感動は一生忘れられない」と語りながら、共同宣言の精神に沿って総聯と民団の同胞が共同行事を開いたことは本当にうれしいことだと満面の笑顔を浮かべた。

総聯・民団同胞ら400人が講演に聞き入った

 そして、統一の必要性と方法、また統一を実現するためにどのような過程を経なければならないかについて約1時間にわたって講演した。

 歴史学者である姜氏は、日帝の植民地統治の歴史的経緯、東アジアの平和を構築する必要性からしても、祖国の統一はわが民族が必ず遂げなければならない課題、世界史的な要求だと力説した。

 また外勢の干渉、半世紀以上続いてきた制度の違いを考える時、統一実現への道のりは長いだろうが、南北が知恵を集め、外勢の干渉に打ち勝つ「共助体制」を構築していくべきだと主張した。

 講演に続き、李鐘九・総聯本部副委員長と方宗進・民団本部議長が両本部の合意文を朗読した。

 そのなかで総聯、民団本部は今後も、6.15共同宣言の実現に向かって努力していくことを約束した。さらに県下同胞の生活の安定と地位向上のため積極的に協力し合い、新世代の民族性を守る対策をともに立てていくことにした。

 文化公演では兵庫朝鮮歌舞団、朴保氏らの歌や踊りが披露され、最後には参加者全員で「われらの願い」を合唱した。

無年金同胞の福祉給付金増額を実現

青年団体は7月に文化マダン

 兵庫では、6.15共同宣言発表直後のワンコリア行進団の成功によって各支部はもちろん商工人、青年、女性団体にも交流が広がっていった。

 特記すべきは、同胞の生活を守る活動に共同で取り組み、それが実を結んだことだ。両本部は同胞社会における弱者である無年金高齢者、障害者を救済し、地方自治体が支給する福祉給付金の増額を実現するため県知事に合同で要望。支部レベルでも当該市に要望を行い兵庫県、西宮市、伊丹市、宝塚市、川西市で増額を実現した。

 西宮の総聯、民団両支部は16日に共同宣言2周年を祝う同胞高齢者の集いを開く。鄭甲一・民団西宮支部支団長(52)は、「無年金同胞のために一緒にがんばってきたので自然にそういう話になった。とにかく交流は足元から。同胞が喜ぶことを1つずつ積み重ねていきたい」と語った。

 共同宣言を機に朝青、留学同、民団青年会など県下5つの同胞青年団体は「兵庫コリアン青年学生協議会」を結成し、交流を重ねてきたが、7月7日には文化マダンを開催する。

 李原絵・留学同委員長(27)は、「今までつながりのなかった青年たちに新しい出会いを提供できれば」と話していた。(張慧純記者)

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