春・夏・秋・冬

 友人が「アリラン」観光に行ってきた。さっそく感想を聞いたところ、「スケールの大きさに驚いた」「目にも止まらぬ早さで移り変わる背景台、華麗な舞い、予想をはるかに超えた公演だった」とまくしたてた。「百聞は一見にしかず」。月並みな言い回しだが、やはりこの例えがしっくりとくるという

▼むろん初めての訪朝。「怖さと好奇心が同居していた」。前者は初めての土地であるとともに、「家族、親兄弟、そして周囲の人間から飢餓の国だといわれているのに、何を好き好んで」と、あれやこれやと「吹き込まれた」ことが要因だったらしい

▼しかし、民族は違えど同じ人間同士。ホテルの従業員との会話や、街を歩く市民たちの自分と同じ表情にひと安心するとともに、どういう暮らしをしているのか、もっと知りたい気持ちになったが、その時には観光日程は終盤、時間はなく「好奇心」だけが積もり積もって帰途についた

▼とはいうものの、この友人にとって新しい発見の旅でもあった。それは4章11景からなる「アリラン」を通じて、学校の教科書では学ぶことのなかった朝鮮歴史の一端を知ることができたからだった

▼「植民地支配をした事実は知っていたが、それに抗して奪われた国を取り戻すために朝鮮民族が長い闘いを繰り広げたこと、その後の建国からこんにちまでの道のりについては無知だった」。そのことを恥じながら、せっかく知る機会をえたのだから、「今後は日朝の過去、現在、未来について考えていきたい」と。(彦)

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