それぞれの四季

ワールドカップ

ウォン・ジョンヒ


 猫も杓子も、とでもいうのか、とにかく盛り上がってますワールドカップ。

 私もご多分に漏れず、だ。先日は新宿職安通りに設置された大スクリーンの前で、「韓国」の歴史的一勝を大勢の同胞たちと祝した。その場にいるみんなに、ビールをおごってしまいたい気持ちになった(気持ちだけ!)。

 かといって常時サッカーファンではなく、大イベント期に同乗する期間限定。

 始まりは85年のユニバーシアード神戸大会であった。共和国がサッカーで優勝した年である。

 小学6年だった私は父に連れられ多くの試合を生で観戦した。そこではまったのが、DFで2番のキム・グァンミン選手。

 ボールがどこにあろうとも彼だけを見つめ続けた。ルールもろくに知らずに、彼に当たってくる「奴」がいると「こらっ、何するねん!」と叫んだ。

 大会後にあった選手団との交流会でも始終彼を追っかけていた。その後も度々、彼を見た。母、兄が祖国訪問した時の写真、ビデオに写っていたり、大学時に何気なくめくった某サッカー誌に注目選手として紹介されていたりと。

 重なる偶然を「運命かも?」と思っていた。知人にその話をすると、彼は共和国で一番有名な選手だったのであり得ることだと言われた。妄想は打ち砕かれた。が、いずれにしろ私にとって彼は、今もナンバーワン選手なのだ。

 まだ現役なのか、それとも指導者になったのか…早くその姿を拝みたいものだ。ワールドカップ熱の中、その思いもいっそう高まっている。(医療生活協同組合職員)

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