今年上半期(1〜6月)の朝ロ関係

交流・協力多岐にわたり深まる


 今年に入り、朝鮮とロシアの友好・協力関係がより一層深まっている。上半期中、金正日総書記は駐朝ロシア大使館を2回にわたり訪問。平壌を訪れたロシアのプリコフスキー極東連邦管区大統領全権大使をはじめとする、4代表団と会見をした。金正日総書記がロシア大使館を2回も訪れるということは、昨年や一昨年はもちろん、これまでになかった事で異例のことといえる。

活発な経済分野

 朝ロ関係の進展が、金正日総書記とプーチン大統領両首脳により直接進められている事は周知の事実だ。プーチン大統領は2000年7月、金正日総書記は昨年8月に平壌とモスクワをそれぞれ訪問し、朝ロ共同宣言の発表など両国の関係強化を世界にアピールした。

上半期の主要日誌

1月6日 金正日総書記、新年に際しロシア大使館訪問
  25日 平壌市とモスクワ市の親善関係設定協定、モスクワで調印
  31日 朝ロ規格、計量及び品質管理部門協調計画書調印
   31日 朝ロ医学科学交流に関する協定履行のための2002―2004年合意書、平壌で調印
2月11日 総書記、ロシア極東連邦管区大統領全権大使と会見
  12日 朝鮮の国際貿易促進委員会とロシアの「極東投資会社」間の協調に関する備忘録、平壌で調印
3月7日 羅先市豆満江地区に朝ロ親善閣落成
  16日 朝鮮科学代表団、ロシア連合原子核研究所メンバー国政府全権代表者会議参加へ
  16日 最高人民会議崔泰福議長一行、ロシア訪問へ
  17日 総書記、駐朝ロシア連邦特命全権大使の招待で、謝肉祭行事に参加
  22日 朝鮮科学院とロシア科学院シベリア分院、科学協調に関する協定締結
  27日 朝鮮政府文化代表団、ロシア、アルメニア、アゼルバイジャン訪問へ
  27日 総書記、ロシア連邦大統領楽団一行と会見
4月3日 朝鮮政府とロシア政府、2002−2004年文化および科学交流に関する計画書、モスクワで調印
      4日 朝鮮政府経済代表団、ロシア連邦極東管区訪問へ
      5日 平壌―ハバロフスク定期航路が開設
  15日 総書記、ロシア・サンクトペテルブルク市長一行と会見
  24日 朝鮮農業科学院とロシア農業科学院、農業科学分野での科学技術協力に関する協定にモスクワで調印
  24日 総書記、ロシア極東連邦管区大統領全権大使と会見
5月17日 朝鮮林業省代表団、ロシア訪問へ
  21日 白南淳外相とイワノフ外相、モスクワで会談
  21日 朝鮮外務省とロシア外務省、2002―2004年交流計画書にモスクワで調印
  27日 ロシア連邦軍赤旗極東軍管区協奏団、訪朝
      2日 総書記、ロシア連邦軍極東軍管区代表団と会見
      6日 ロシア政府、朝鮮に人道的協力物資として食糧と食料品を寄贈

 5月21日、イワノフ外相は朝鮮の外務省一行のための宴会の席上、2000年7月と2001年8月の両国首脳の出会いは、ロ朝関係の発展を推し進めるうえで意義深いものであると指摘。

金正日総書記は、2002年の新年にあたり駐朝ロシア大使館を訪問した(1月6日)

 また、2月に訪朝したプリコフスキーロシア極東連邦管区大統領全権大使も、金正日総書記とプーチン大統領が2度にわたって会い親交を深めたことで、ロ朝関係は現状にあった新たな段階に入ったと述べるなど、両国間の新たな関係を築くうえでの両首脳の出会いが持つ意味を強調している。

 両国の交流は、政治、経済、軍事、農業、文化など多岐にわたっている。カルロフ駐朝ロシア大使は6日、国慶節に際して催した宴会で、両国間の政治、経済などすべての分野での友好と協力は、白南淳外相の今回のロシア訪問によってより強化されたと述べた。また、ロシアと朝鮮の外相がサインした2003―04年外務省間の交流計画書は、ロ朝間の協力と接触を発展させる法律的土台になると述べながら、両国外務省は今回合意された問題を実行するため積極的に努力しなければならないと指摘した。

平壌空港に到着したロシア大統領楽団を歓迎する平壌市民

 これに対し白南淳外相は、今回の訪問は朝ロ関係の発展を推し進める契機になったと述べながら、相互の関心事となる問題について意見を交わし見解の一致を見たと話した。

 2000年7月19日に発表された朝ロ共同宣言でも謳われているように、両国の友好・親善関係の発展は、平等で互恵的な関係を創り出そうという世界的なすう勢に沿ったものだ。また、鉄道連結事業などは北と南の鉄道連結を前提としており、朝ロの関係強化は北と南の関係進展にも貢献する。

今後、さらに強化

 両国の関係強化は一方で、世界の一極支配を目論む米国がMD(ミサイル防衛)樹立を強行すると共に、昨年の「9.11テロ事件」を契機に、独善的な戦争政策を強めている中で進められており、ブッシュ政権の横暴にブレーキをかけ朝鮮半島の安全と平和を守るうえでも多大な意義を持っている。

 ブッシュ政権は今年に入り、朝鮮をはじめとする国々を「悪の枢軸」などと冒涜(ぼうとく)する一方で、朝鮮とロシア、中国をはじめとする7カ国に対し、「核による先制攻撃も辞さない」という強硬姿勢を貫いている。

 こうした情勢の中、朝鮮では12日のロシア国慶節に際し、複雑な情勢にともなったロシアの自主的な国防力強化政策を詳細に報道した。金正日総書記もプーチン大統領に祝電を送り、両国の友好・協力関係および政治、経済、文化など多方面での交流強化の意思を表明した。今年の下半期には、金正日総書記のロシア極東訪問の可能性を指摘する向きもある。(李松鶴記者)

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