横須賀 朝鮮人強制連行
地下工場建設に動員、公文書で初立証
横須賀海軍施設部とは、横須賀海軍の施設を建設する部隊で、戦争末期には主に地下工場建設を担当。当時、同一一三部隊長を務めた鈴木三郎技師も、「穴掘り、終戦、跡始末に苦労」(「海軍施設系技術官の記録」)と、トンネル掘りに従事した事実に言及している。 当時の米国戦略爆撃調査団の調査報告書などをまとめた「現代史資料39」(太平洋戦争5)によると、横須賀に掘られた地下工場の総延長は、松代大本営(13キロ)を上回る約20キロにも上る。
神奈川調査団では、これまでの現地調査を通じて、同胞と日本人から「多くの朝鮮人が従事した」「穴を掘るときはダイナマイトを爆発させたので、逃げ切れずに死傷者が出た」「憲兵が見張り、仕事は昼夜の2交代」などの証言を得てきたが、今回の公文書によって、地下工場建設に朝鮮人が強制連行されていたことが全国で初めて立証された。また証言では、犠牲になった人が現場近くに穴を掘って葬られたことも明らかになった。 当時、朝鮮人は軍属として徴用され、日本軍の基地建設などに動員された。当初の連行先は南方だったが、今回の公文書により、本土決戦に備え44年11月頃から始まったとされる地下工場建設にも、朝鮮人が軍属などとして連行されてきたことがわかる。 日本政府は92年、軍人・軍属として徴用された朝鮮人の名簿24万人分の写し(陸軍の寄留名簿14万3000人分と海軍の約10万人分の人事記録カード)を南当局に渡しているが、それが公開されれば、地下工場・地下軍事施設への朝鮮人強制連行の解明につながるだろう。 なお調査の詳細は、「朝鮮人強制連行調査の記録・関東編1」(柏書房、4200円)にまとめられ、今月発行された。(羅基哲記者) |