春・夏・秋・冬

 米国建国の歴史が1620年、メイフラワー号による、オランダからの英国清教徒移民に始まることは、あらためて指摘することでもない。移民の動機が、英国国教会による宗教迫害からの脱出にあったことも、よく知られた事実である。つまり「自由」を求めて彼らは新大陸に渡った

▼無からの出発だけに、開拓の歴史だったと喧伝されてきたが、新大陸には先住民インディアンが存在していた。だからその歴史は、彼らインディアンの駆逐を意味する

▼20世紀後半、米国は朝鮮、ベトナムでたたかい、殺りくを繰り広げた。アフリカでの旧ソ連との代理戦争や、「裏庭」と呼んで安全の防波堤とした中南米では、特殊部隊のグリーンベレーやCIA(傭兵)が暗躍した。社会主義政権を転覆させたグレナダには海兵隊を投入した

▼こうした米国の好戦性は、肉食文化が形成したという説がある。例えがわかりやすい。動物を殺して糧とするのだから、人を殺すにもさほど抵抗はない、というわけだ。真偽のほどは定かではないが、「悪の枢軸」発言に代表されるように、ブッシュ政権の言動を見ていると、さもありなん、である

▼今度はテロ予防、大量破壊兵器に対抗するために先制攻撃を今秋にも政策化すると言明した。その直後、パウエル国務長官は朝鮮に対し、核開発・ミサイル開発の中止、通常兵力の削減、IAEAの特別査察受け入れを前提にした朝米対話再開を提案した。家にカギをかけずに外出しろ、というものだ。血に飢えた狼というか、どうしても一戦交えたいようだ。(彦)

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