山口・下関ムジゲ会、福祉テーマにシンポ

障害者の自立、1世介護話し合う


 心身障害を抱える同胞家族のネットワーク、下関ムジゲ会が主催するシンポジウム「温かい心を育もう! 共に手を取り合って!」(協賛=総聯山口・下関支部)が8日、下関市民センターで開催された。地域の同胞や山口朝鮮高級学校の生徒、日本市民ら130人が参加し、障害者や高齢者問題をテーマに話し合った。今月1周年を迎えた同会が障害者、高齢者の思いと現状を分かち合い、問題の解決策を探ろうと企画したものだ。

シンポでは障害者の日常生活をおさめたビデオも上映された

 シンポでは下関ムジゲ会メンバーの金辰美、崔玉貴、徐蓮美、金由理さんと河秀光・総聯中央同胞生活局長、ケア・マネージャーの吉田清子氏がパネラーを務めた。

 自閉症の息子を育てる金辰美さんは、2年前息子が高校に進学するのを機に1人で電車通学させることを決意。養護学校の受験や自主通学にチャレンジした結果、寄宿舎生活を送るまでに成長した喜びを語った。

 「障害を持つ子が集団生活をすることは想像以上に大変なことだが、いずれ訪れるであろう『親亡き後』を考えると必ず経験させたかった」。金さんは、同胞障害者の自立を促すため、デイケアセンター、作業所の設立が必要だと結んだ。

 聴覚障害者の徐蓮美さんは、高校進学と同時に日本の学校から山口朝高に転校。友人が親身に助けてくれた朝高での日々は「楽しい思い出でいっぱい」だという。徐さんは、1、3歳の子どもを持つ親として「障害を持つオモニたちとも情報交換をしたい」と思いを告げた。

 また、10歳の娘がコルネリア・デ・ランゲ症候群の障害を持つ崔玉貴さんは、「ほとんどの人は『障害』という言葉の前に普通の接し方を忘れてしまう。健常者と同じように普通に接してくれれば」と訴えた。

 一昨年から下関同胞生活相談綜合センターは、豊関介護サービス株式会社とタイアップし、同胞ヘルパーによる介護サービスを施している。同社のケアマネージャーで1世の介護に取り組む吉田清子さんは、1世が集えるデイサービス施設があれば、彼らがより充実した日々を送れるのではと提言した。

 続けて質疑応答。「同胞福祉を充実させる青写真は」などの質問に対して下関相談センターの韓朝男さんがヘルパーなど資格取得者の育成、行政との協力、障害者の実態調査、ムジゲ会のサポートに取り組むと答えた。【下関ムジゲ会】

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