民族教育権よう護、拡充大阪・署名運動

初日1日で1万330人分


 既報のように、民族教育権のよう護、拡充を求めた署名運動が6月19日から大阪府下でいっせいに始まった。在日朝鮮人民族教育大阪府対策委員会が企画したもので、9月30日まで行われる。民族教育対策委員会では、同時に朝鮮学校の授業一般公開を広くして現状を知ってもらうと共に大阪市議会議員を訪ね、権利拡充をアピールするなど、活発な運動を行っている。

17の駅頭で一斉に

 署名運動は、民族教育対策委員会の10ある地域対策委員会別に行われている。父母や朝鮮学校の生徒らは初日の19日、JRや近鉄、阪急などの17駅に立ち、学校としての正式な認可、私学同等の助成、寄付金の損金扱い、民族学級の制度的保障などを訴えた。

署名に応じる日本市民(JR鶴橋駅)

 JR天王寺駅で署名を行った南玉江さん(44)は、「子供が高3になり進路のことで、ますます朝鮮学校に対する差別的処遇を感じるようになった。朝鮮学校を卒業した生徒が、大学受験資格検定に受からなければ進学できないという現状はおかしい。これからもみんなで団結しがんばっていきたい」と話していた。

 JR寺田町駅や阪急上新庄駅では、朝鮮学校の生徒らが父母と一緒に署名運動に参加した。東大阪朝鮮中級学校の金裕学くん(中3)は、「初めて署名運動に参加して、朝鮮学校の事に関心をもっている日本人が多いということを知った」という。

 この日集まった署名は1万330人分。処遇改善を訴えるビラも1万9350枚配った。民族教育対策委員会では街頭署名のほかにも連合、自治労、市労連、市職組合などの各団体を回り、ビラと署名用紙を配布した。

 また、一般公開授業を参観した後署名用紙を持ち帰り、個別に委員会あてに送ってくれる日本市民も多いという。

大阪朝高3年生も

 一方、6月28日には大阪朝鮮高級学校の高3の生徒らが、通学の最寄り駅の近鉄布施、小阪、八戸ノ里の各駅とJR鶴橋、桃谷駅などで署名運動を行った。

駅頭で朝鮮学校の処遇改善を訴えるオモニたち(JR天王寺駅)

 生徒らは、「朝鮮学校の処遇改善のためご協力お願いします」と力いっぱい声を張り上げ、市民らに協力を呼びかけた。

 日本の市民らは、「(差別されているのを)知らなかった」「何で差別されているの?」「がんばって」と声をかけながら署名に協力していた。

 鶴橋駅で署名に応じていた西江安子さん(72)は、「朝鮮学校がこのような差別的な処遇を受けているとは知らなかった。日本人と同じように税金を払っているのに、助成金が少ないというのは不公平。これでは子供たちがかわいそう」。また、同じ高校生の鈴木大輔くん(16)は、「今日たまたま差別についての授業があった。朝鮮学校に対する差別は知っていたが、やはり差別はいけないと思う」と話していた。

 大阪朝高の生徒らは、「朝鮮学校に対する処遇改善は難しいことだけども、後輩たちのためにも必ず実現したい。署名運動に参加するのは初めてだが、協力してくれる人が多いのでやりがいがある」(張世勲くん)、「やる前は、協力してくれる人がいないのではと不安に思ったが、たくさんの人が署名してくれて力を得た」(高一男くん)と、決意を新たにしていた。署名運動は今後も、状況に合わせ各地域対策委員会別で行われる。

日本語版TOPページ