春・夏・秋・冬 |
前号で紹介したように、西海上での武力衝突事件に対する南朝鮮軍部の「北の計画的犯行」との発表に、事件当時、現場付近でワタリガニ漁をしていた漁民たちから勇気ある告発が相次いだ。「軍の許可を受けて北方限界線を越えた」。これが真相だ
▼だから「停戦協定違反」うんぬんも当たらない。当たらないどころか、「北方限界線」は停戦協定によって定められたものではないので、そうした認識自体が誤っている。そもそもは53年8月、停戦協定に反対し署名までも拒否した当時の李承晩政権が、協定を無効にするために単独で北進攻撃を仕掛けるのではないかと恐れた米軍が、朝鮮はもとより南当局にも協議せず一方的に宣言したものなのだ ▼奇怪な事件の謎解きには、「誰が得をしたのかを考えろ」と、昔からよくいわれる。では今回、その恩恵を受けたのは誰か ▼まずは、金大中政権の強い要請に仕方なく朝米対話再開を口にしてきた米国。この事件を口実に高官訪朝をキャンセルできた。折もおり、米兵が女子中学生2人を装甲車でひき殺し、南朝鮮世論から激しい指弾を浴びている。「好戦的な朝鮮」をさらにクローズアップさせ、これまた国際社会から非難ごうごうの「悪の枢軸」発言を正当化もできる。簡単に列挙しただけでも「一石三鳥」 ▼次に6.15共同宣言に反対する南朝鮮内部の勢力。とりわけ李会昌・ハンナラ党は、年末の大統領選挙に向けて、地方選挙圧勝の勢いもバックに水を得た魚のように激烈なキャンペーンを展開している。要するに冷戦思考の勢力なのだ。(彦) |