春・夏・秋・冬

 先月13日、京畿道楊州で起きた米軍装甲車による女子中学生れき殺事件。おそらく(いや確実に)反米感情が爆発するのを懸念したのだろう、米軍は事件を起こした2人の検察出頭を表明したが、当日の8日になって突然、調査の行われる議政府支庁舎前で「デモが行われるので兵士の安全が確保できない」などを理由にキャンセルしてしまった

▼南朝鮮メディアによると当日、支庁舎前で抗議行動をしていたのは「米軍装甲車による女子中学生殺人事件汎国民対策委員会」のメンバーたち。支庁舎を警察がびっしりと包囲していたので、「裁判管かつ権放棄要請 即時実現」などと書かれたプラカードを手に、整然と「1人デモ」を行っていた。現場の写真を見るとデモをする側よりも警察の数が圧倒的に多い。米兵士の安全は確実に保証されていた

▼いうまでもなく「韓米地位協定」によって南朝鮮における米軍の地位は保障されている。今回のように人を殺そうが、盗みをしようが「治外法権」。米兵が南朝鮮の法律によって裁かれることはない。南朝鮮側からの要請があれば「検討」することはあるが、決定するのはあくまで米軍なのだ

▼こんな理不尽な関係が解放後の軍政以降、今日まで続いている。さらに南朝鮮の軍そのものも、南朝鮮当局の意のままにならない

▼と書けば、いや「平時」の統帥権は南朝鮮当局にある、と反論する向きもあるだろうが、朝鮮半島は53年7月以降、停戦という名の戦争状態にある。西海上での衝突事件も、ここからひも解いていかないと本質は見えてこない。(彦)

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