「最終処分埋立ゼロが目標」

産業廃棄物中間処理業(株)ユーワ


卞昭子社長
 処分場不足や悪質業者による不法投棄が大きな社会問題となっている建築廃材をできるだけ再資源化し、廃棄物を減らそうと、株式会社ユーワ(卞昭子社長、埼玉県所沢市、社員130人)では、創業当時の1988年から徹底した分別にもとづく中間処理を行ってきた。その業績が認められ、優良事業所として日本の内閣総理府をはじめとする10省庁が後援しているリサイクル推進協議会などから表彰されるなど、注目を集めている。リサイクル率約90%を誇る同社は、県内で初めて廃棄物業者として「ISO14001(環境管理の国際規格)」も取得。工場だけでなく、全社員が一丸となって@環境方針に従い廃棄物のリサイクル100%A節電B騒音をはじめとする環境問題――に取り組んでいる。同社の目標は、「最終処分埋立をゼロにする」ことだ。(李明花記者)

整備された作業環境

工場内には最新機器が完備(写真は風力振動選別スクリーン)

 所沢市本郷にある「ユーワ所沢中間処理工場」。工場内はすべてオートメーション化され、廃棄物のデータはコンピューターで集計、本社が一括して管理している。扱う品目は主に木くず、ゴムくず、金属くず、ガラスおよび陶磁器くず、ガレキ類、廃プラで、これらは炭製品や道路舗装用ブロック、学習机や卓球台、再生ボードなどの原料にリサイクルされる。処理能力は1000立方メートル。環境重視の経営方針のもと、最新機器と手作業による徹底した分別作業が3段階にわたって行われている。

 振動で土砂を振るい落とすスクリーン機やガレキ類を破砕するせん断機、重機は環境にも配慮し、騒音の少ないドイツやアメリカ製のものを使用している。

 工場にはつきものの、ほこりがほとんどたたないのも特徴だ。「一昨年3月のISO14001(環境重視の企業活動を認定する国際規格)取得後、社員に対する意識改革を徹底的に行った。その結果、ほこりを出さないように散水をこまめにする、アイドリングストップを徹底するなど、社員一人ひとりに『環境に配慮する』という意識が生まれた」(卞社長)。また、工場出口に面した小学校の通学路を15年間毎週1回清掃しているほか、七夕には短冊、クリスマスにはツリーを飾るなど地域とのコミュニケーション作りにも余念がない。

大手業界から高い信頼

ペットボトルからリサイクルされた製品の一部

 同社は一昨年3月、県内では初めて、環境重視の企業活動を認定する国際規格「ISO14001」を取得した。粉塵・騒音の低減、運搬車によるアイドリングストップ運動の実施、営業車の電気自動車への切り替え、オフィス内における紙・電力使用量の低減などを基本方針としている。環境対策を本格化することで、建設業界の信頼性も高まった。現在の取引先は、竹中工務店、大成建設、清水建設、戸田建設、積水ハウス、三菱地所、住友林業、旭化成、乃村工藝社など大手建設会社、ハウスメーカー400余社におよぶ。東京ディズニーランドなどで行われるイベントのディスプレイを解体・中間処理する作業も行っている。

 信頼性を買われ、早稲田大学アジア太平洋研究センターの研究会に所属している。不法投棄防止の情報システム作りなど理想のビジネスモデルを研究している。共同で開発した「廃棄物のトレサビリティー」システム(荷札をつけた廃棄物をコンピューター管理し、不法投棄を防ぐシステム)は現在、特許を申請中だ。

朝大出身者も募集

6月22日、埼玉初中全校児童・生徒268人が施設を見学に訪れた

 「環境問題に対する意識を育てるには、幼い頃からの教育が大切」と卞社長。その思いを胸に、数年前から地元埼玉朝鮮初中の児童・生徒たちを施設に招待している。

 小学生に描いてもらった絵は昨年末、カレンダーにして学校にプレゼントした。先月は初めて、全校生268人が訪れた。

 見学後、生徒たちは、「ゴミがちゃんと資源の1つになっていく過程を見て、とても立派な仕事だと思った。僕もまず家に帰り、ゴミをちゃんと分別していきたい」(閔隆宏くん、中3)「私たちの住む地球がゴミだらけにならないように、少しでもゴミを減らしたいと思う」(韓愛理さん、中3)などと書いた感想文を寄せた。

 同社では朝大出身者をはじめとする若手社員の募集も幅広く行っている。「日本の大手企業が進出しているなか、1世が築いてきたこの業界を私たち朝鮮人の力と知恵で守っていきましょう」(卞社長)。

日本語版TOPページ