医療−最前線

メンタルヘルス


 リストラ、IT(情報技術)革命―。さまざまなストレスにさらされている現代の働く者の心の健康(メンタルヘルス)について、多くの職場で取り組みが進んでいるようだ。

 体の健康に比べるとまだ、社会的な認知が進んでいるとはいえないが、厚労省の検討会などでもメンタルヘルスについての報告書が作成されるなど、社会的な関心もだんだん広がっている。

 「社員に元気がないと生産性が下がる」

 「過労による事故が起きると、企業も損失を被る」などの企業の危機管理の側面もあるようだが、本格的に取り組みが始まったのは、よいことである。

 最近の傾向によると、企業側がメンタルヘルスに関心を向け始めたのは、「社内で自殺者が出た」「長期療養の社員が多い」という理由などが目立つという。

 社員の心の健康にまで気を配らないと万一の時のリスクが大きいという危機感も背景にある。

 厚労省の検討会の報告書によると、「心の健康問題により作業効率が低下したり、長く休業したりする場合の損失は大きい」などと指摘している。

 職場で進むコンピューター化に、中高年社員はうまく対応できない、賃金体系も年功序列から成果主義にかわり、労働者の不満が大きくなっている。

 リストラで従業員が減った職場では、人間関係が悪くなり心の不調が強まる傾向もあるという。

 環境の変化に対応できない人のためにセーフティーネット(安全網)をどう敷くか、各職場で早期に確立する必要があろう。(李秀一・医療従事者)

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