春・夏・秋・冬

 髪の毛が斑点のようにまだらにしか生えていない子、枝のように細い脚をした子……見るからに栄養失調とわかる赤ん坊がビデオカメラの前に登場する。全員が両親を病気で亡くした孤児たちだ。「お腹がすいた」と泣く事さえできないのは、朝鮮の育児院(孤児院)に入所している子どもたち。そして、ビデオを回しているのは、この育児院に粉ミルクの援助を続けている「北朝鮮人道支援ネットワーク・ジャパン」のメンバーである

▼炎天下の「海の日」、東京で開かれたシンポジウム「私たちは続ける! 北朝鮮人道支援の意義」を取材した。その冒頭で流れたのが前述のビデオだ。メンバーの1人、竹本さんは、「粉ミルクが間違いなく届いているのを確認できた」「われわれが悪用しないことを知っているから、子どもたちに会わせてくれた」と語る

▼6年間の「苦難の行軍」時期を乗り切ったとはいえ、朝鮮の経済事情、食料事情は依然として厳しい。「苦難の行軍」当時に親を亡くした子どもの存在もある。支援は今でも必要なのだ

▼日本では98年の人工衛星打ち上げ以降、食料支援が極端に減ったそうだが、国連などの国際機関、欧州のNGOをはじめとする国際機関では細々と援助が続けられていたという。人道支援ネットワークも、そうした動きに力を得て支援を続けてきた

▼意図的に流されるイメージによって日本では朝鮮に対する支援は困難を極める。そんな中でも「私たちは続ける!」とがんばる人たち。本当に頭が下がる。(聖)

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