閑話休題

ゆがんだ社会と精神

南京虐殺と「慰安婦」も手柄話


 日中戦争時、南京大虐殺に加わった日本軍兵士の証言集「南京戦・閉ざされた記憶を尋ねて―元兵士102人の証言」(社会評論社)が8月に出版されるという。

 ここでは初めて重い記憶の扉を開いて「虐殺」を語った人もいるが、一方で手柄話のように話す人もいると言う。

 「南京陥落の次の日…。兵隊が中国兵をいっぱい連れて来てね、倉庫に詰め込んでいるんです。中国人を殺すのに『もう弾が足りない』言うてね、燃える物持ってきて積み上げて火をつけたんです」(第33連隊第1機関銃中隊)

 「南京で5人の首を切りました。ハエを殺すのと同じ感覚ですよ。首の前の皮を残して切るのがコツですわ」(第38連隊第1大隊)

 …聞くのも恐ろしい証言が続く。しかし、聞き取りした大阪の小学校教師・松岡環さん(54)の「心から悔いている人はあまりに少なかった」(朝日新聞13日付)話の方がもっと恐ろしい。

 記者も取材中、似たような体験をした。今から6年前、京都の女性たちが「おしえてください! 『慰安婦』情報電話」を開設した。その生々しい証言のテープをまとめた山内小夜子さんたちは、驚くことになる。「最初、元兵士らの口は重いに違いないと思っていたが、意外にも多くの人がよどみなく、人によっては懐かしそうに話し続けた」からだ。「彼らは『兵隊に女はつきもの』『今ごろ何言うてんのや』という意識のままだった」。

 あのような野蛮な非道を恥じない精神は、日本社会の中で大手を振って生き永らえている。(粉)

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