ざいにち発コリアン社会
平壌商大女子大生との出会い
平壌ボランティア日記―「アリラン」対外奉仕団に参加して〈上〉
大マスゲーム・芸術公演「アリラン」の成功をいっそう盛り上げるため、4月29日から7月10日まで活動した総聯対外奉仕団。最後の陣も無事活動を終え、日本に戻ってきた。日本全国の女性同盟のオモニ、朝青員ら計375人が、1陣から11陣にかけてメンバーとして活動した。今回、「奉仕団」の出した屋外売店を利用した人数は累計8万330人。歌舞団は計67回公演し、5万2500人が観覧した。「アリラン」にわく平壌の街に活気を与え、また異国日本で活動する総聯の力を多くの朝鮮人民が知ることとなった今回の対外奉仕活動。最後の約3週間、朝青奉仕団メンバーとして参加し感じたことを2回にわたって報告する。
6月24日、元山から大型バスに乗って平壌に到着。祖国を訪れるのは3年ぶりだ。行く前から聞いていた通り、平壌の街は「アリラン」ムード一色で3年前とは打って変わった雰囲気だった。
次の日から、さっそく奉仕活動に取り掛かる。 奉仕活動の場所は、高麗ホテル前、平壌ホテル前、平壌体育館前、メーデー・スタジアム前の全4カ所。筆者は、6月25日から7月10日までの間、メーデー・スタジアム前で活動した。 1日の流れを簡単に説明すると次のようだ。 午前9時から正午の昼食まで、4つの組に分かれ各自担当の仕事をこなす。食材・日用品の仕入れ、野菜や肉の加工作業、メニューの確認など、こなす仕事は数多く、休む暇など一切ない。昼食後はもう1度確認を行い、午後3時〜5時頃に各持ち場へと出発する。それから夜中の12時まで奉仕活動。仕事に追われていて、日付が変わるのもしばしばだ。 メーデー・スタジアム前の売店は「アリラン」公演が行われている場所とあって人通りも多く、外国人観光客や朝鮮の人々が訪れ連日にぎわいをみせていた。毎日が、朝鮮学校のバザーや納涼大会、夜会に来ているような盛り上がりで、午後6時30から公演開始の8時50分までノンストップで奉仕作業に徹する。
「How much is this?」 「?!」 英語や中国語、ロシア語まで飛び交うスタジアム前の売店。最初はとまどいを覚えたが、なんとか片言の英語で受け答えもしてみたりと、終始笑いが絶えない。 売り物といえばお好み焼きに焼きそば、おでん、フランクフルトにハンバーガーなど。飲み物もビールにサワー、ジュース、平壌焼酎も販売する。また日用品の販売コーナーもある。 そして約2カ月間、総聯奉仕団の一員として参加したのが平壌商業大学に通う10人の女子大生たちだ。共に活動したのはその内の2人で、平壌商業大学観光奉仕学部で学ぶチョ・ヨングムさん(23)とイム・ヨニさん(21)。 奉仕活動を通しての一番の思い出がこの2人との出会い。2週間もの間、朝鮮の学生とこんなに近くで接したことがなかったので、毎日が驚きの連続だった。最初は固いイメージが付きまとったものの、接するにつれそんなものはすぐに吹き飛んだ。印象としてはどこにでもいる普通の女子大生。よく働く代わりに、結構わがままもいう。時にはイタズラをしたり冗談を飛ばしたり、恋愛の話で盛り上がったりと…。 「日本に住む同胞青年とこんなに長い期間接するのは初めてだったけど、祖国の青年となんら変わりがないと感じた。快活でとても楽天的。朝青員や女性同盟のオモニたちが一生懸命に奉仕活動をする姿は同胞愛に満ちていて、見習うことが多かった。やっぱりどこにいても同じ朝鮮民族だと実感した。2カ月間、ここで得たものは一生忘れない」としっかりもののチョさんは話す。 イタズラ好きのイムさんは…。 「異国にいても、祖国に対する思いが人一倍強いことに驚いたし、在日同胞の創造性あふれる奉仕活動はとても勉強になった。どんな人にも心から笑顔で接するのが印象的ね。祖国統一の日まで信念を持って共にがんばりましょう」 2人の祖国に対する純真な心。在日コリアンである自分にとって祖国とは何かをあらためて考え、自分と真しに向き合った3週間だった。(金明c記者) |