原則守り実利追求
朝鮮で行われている経済管理方法の改善
平壌駐在の本紙記者が最近伝えたところによると、朝鮮で経済管理方法を改善するための一連の対策が講じられている。7月1日からは、給与と物価が引き上げられた。現在、朝鮮で行われている一連の経済管理の改善策についてまとめた。
炭鉱夫は6000ウォン まず、給与だが、生産労働者の場合、基本賃金は110ウォンから2000ウォンと、約18倍あがった。とくに上昇したのは炭鉱労働者で基本賃金は6000ウォン。国の経済発展に対する貢献度が高く、重労働であるほど、賃金は高くなる。 人一倍仕事をし多く稼いだ人は、その分分配を受ける。逆に、あまり働かず少なく稼いだ人はその分分配も少なくなる。「社会主義分配原則の正しい実施」だと平壌特派員は伝えている。 一方、物価はどうか。コメの場合、これまで1キロ当たり8チョンだったのが44ウォンと、一気に550倍に上がった。平壌市内を走るバスの運賃は10チョンから2ウォンになった。新しい価格の設定は、基本食糧であるコメの値段を基準にしているとされる。 住宅費、光熱費、水道代なども自己負担となるが、無料教育制度、無償治療などの社会的施策はより強化した形で続けられる。 今回の措置について、国家価格制定局の担当者は、「実利を追求するには、まず勤労者が自らの経済活動の実態を正確に把握しなければならない」と説明している。 これまで少なからず国家の負担でまかなってきた分を、「実勢価格」にしようということだ。例えば、これまで1キロ当たり80チョンで農民から買い上げ、8チョンで供給していたものを、40ウォンで買いあげ44ウォンで販売する。国家は財政支出による負担をしない代わりに、給与を引き上げることによって、実勢価格に見合った生活費を保証することになる。 人民生活向上へ 金正日総書記は昨年10月3日、「強盛大国建設の要求にそって社会主義経済管理を改善・強化することについて」と題する労作で、社会主義的な原則を守りながら実利を生む経済管理方法への転換を示した。(月刊誌「イオ」2月号) 本紙平壌特派員が国家計画委員会の幹部から聞いた話によると、総書記の経済戦略が国家的な規模で推進され始めたのは2000年末からだという。 ▼経済司令部としての内閣の役割強化▼各経済指導機関への計画化権限の委譲▼工場や企業所の合理的組織と管理運営の改善▼生産の分化、専門化――などがそれ。こうした方針にのっとって、技術的に劣っていたり、旧式な生産工程を抱え採算の合わない企業所や工場が廃止された。一方で、各工場や企業所では現代技術を土台にした経営管理の合理化、効率化が進められてきた。 今回の一連の措置も、そういった脈絡から出てきたものといえる。 3月に開かれた最高人民会議第10期第5回会議で報告した洪成南総理は、「わが党と国家では昨年、社会主義社会の本性的要求に沿って、経済管理を改善強化するための画期的な措置を講じた。われわれは社会主義経済管理方法をウリ(われわれ)式に解決していくための事業を力強く推し進めながら、計画、財政、労働部門の事業体系や方法を改善し、企業管理で独立採算制を正しく実施し、地方の創意創造性を高めるようにしなければならない」と述べた。 この言葉から判断すると、改善策はすでに昨年設定されていたと判断できる。この実行過程において、工場や企業所は「収益に基づく評価」を受ける。国家の経済計画を実利保障の原則に基づいて滞りなく執行するためだ。そのため企業所単位では「独立採算制」、国民単位では業績を上げるためより多く働くことが求められる。 働いた分に見合った分配を行うことは、労働者の働く意欲を高めることにもつながる。また、コメの買い上げ価格を80チョンから40ウォンに引き上げたことで、農民の生産意欲も高まり、穀物生産の向上にもつながることが期待されている。 金正日総書記は、先ごろ訪朝したロシアのイワノフ外相と会談した際、この改善策について触れ、経済の姿を一新させ経済力を高め、人民生活を飛躍的に向上させるものと確信する、と語っている。(文聖姫記者) |