ざいにち発コリアン社会
「身近に感じた祖国の人々」
平壌ボランティア日記―「アリラン」対外奉仕団に参加して〈下〉
女性同盟新潟の非専従副委員長、鄭喜順さん(44)は、「すべてが初めての経験で、慣れない中よくがんばった。朝青の若いパワーをもらいながら、オモニたちみんなが1つになって最後までやり通すことができたし、祖国に少しでも寄与できたのがなによりもうれしい」と話す。 「本当に最後まで参加できてほっとしています」と話すのは今回が初めての祖国訪問だという、女性同盟兵庫から参加した李栄奎さん(47)。末の男の子が10歳と幼く気がかりだったが、家のことは3人の娘たちに任せてきた。途中でアリラン公演が延長される話を聞き、7月5日には1人で先に日本へ戻る予定だった。 「最初は子供のことがとても心配で…。だけど奉仕団最後の締めくくりとあって、自分だけ先に帰るわけにはいかなかった。オモニたちが団結して奉仕活動を行う姿に感銘を受けたし、最後までやろうと声をかけられ決心した。いざ日本に戻ってみると、子供たちは意外とあっさりしていたので少しがっくりでした(笑)」 「朝大時代に行ったときとは見たり感じたりすることが確実に違った」。こう話すのは朝青兵庫須磨垂水支部で副委員長の金昇浩さん(25)。メーデー・スタジアム前で活動した。最後の日には、祖国統一の願いを込め統一旗を描いた板を作り、会場に訪れた人たちに名前を書いてもらうイベントを行った。 「今回で5回目の訪問だが、朝鮮の人々をこんなに身近に感じたことは今までなかった。アリラン公演は人々の生活力そのものだということを肌で感じたし、奉仕を通して見えてくる祖国の姿に魅了された」 最年少とはいえ遠慮なしで、どこにいても元気いっぱいだった総聯東京都本部に務める朴麗華さん(19)。 「平壌体育館前で日用品販売をしたが、活気あふれる平壌の街と祖国の人々にただただ驚かされるばかり。奉仕中に何度も『がんばって』と声をかけられた。そのたびに日本に戻ってもがんばろうと元気づけられた」 連日大盛況だった歌舞団公演。祖国の人々はみな楽しみにしていた。前列を陣取っている人がいつも同じ顔ぶれ。毎日欠かさず観覧する人もいたほどだ。 17年間、大阪歌舞団で活動する趙正心さん(34)は、7年ぶりの祖国訪問。 「驚いたのは人々の表情がみんな明るいこと。『苦難の行軍』に打ち勝った自信を、公演を観覧する人々の表情から見てとることができた。全国の歌舞団団員は約60人いるが、今回公演に参加できたのはわずか20人。参加したくてもできない団員の分まで100%の力を出した。自分たちに合った公演ができたことを誇りに思う」 「必ず一度は祖国で公演してみたかった」と力強く話すのは、兵庫歌舞団・舞踊手の金順寛さん(24)。舞踊手は1人だけとあって、プレッシャーは相当なものだったと言うが、逆にそれを楽しんでいるようにも思えた。 「長年の夢がやっとかなった感じです。今回の公演を通して総聯歌舞団が創作した歌や舞踊を多くの祖国の人たちに知ってもらえたと思う。祖国での公演は日本とはまた違い、自分が踊ることの意味を改めて考えさせられた。観客との一体感を何度も肌で感じた。そのたびに胸が熱くなった」 ありのままの祖国の姿からそれぞれが得たものはさまざまだが、「明日への糧になった」と参加者は口をそろえる。 その熱い思いは、確実に祖国の人々の胸に深く刻み込まれたに違いない。 |