民族同士力を合わせ統一を


 6.15共同宣言から2年を迎えた今年、平壌で1月22日開かれた朝鮮政府・政党・団体合同会議が提示した3大アピールと3大提案は、5〜8月を「わが民族同士で力を合わせていく運動期間」に定めた。これをうけて広島、福岡、愛知をはじめとする総聯各本部ではこの間、6.15共同宣言の意義を再確認し北南朝鮮関係の展望に関する講演会を行った。講師には、米国で活動する韓浩錫統一学研究所所長、南の姜萬吉尚志大学総長らが招かれた。6.15共同宣言後の統一情勢と統一運動の展望について話した韓氏に対し、姜氏は北南朝鮮の統一をどのような方法で実現するかについて話した。両氏が行った講演の要旨を紹介する。

信念こそ勝利の源(韓浩錫・統一学研究所所長)

 祖国統一は民族史において将来実現する未来形の偉業ではなく、こんにち実現されつつある現在進行形の偉業である。

 もちろん統一を完遂する日は未来にあるが、統一事業がまったく実現されずこの先7年あるいは10年後に突然成し遂げられるというものではない。祖国の統一はこんにちの現実の中ですでに実現されつつあり、近い将来統一が完遂するであろう。

 祖国統一がこんにち実現されつつあるという根拠は、6.15共同宣言以後の情勢が如実に語ってくれている。

 まず、南北間で多方面での接触、往来、対話、交流、協力が進められている。私が知っているだけでも、南北の労働者、農民の共同行事や知識人の共同学術行事、宗教人たちの共同行事が開催された。また、離散家族・親せきの相互訪問や南北赤十字会談、経済協力会議や通信協力会談なども行われた。南北共同で科学技術大学や農業機械修理工場、PCルームなども新たに建設した。こうした交流こそ統一事業の一環であり、統一実現のための措置なのである。

 次に、祖国統一の主体勢力が強化されつつある。北では国家的に統一事業に全力を注いでいる。南でも統一勢力が成長しつつある。6月13日に行われた統一地方選挙では、創党から2年しか経っていない進歩政党の民主労働党が第3党に浮上した。

 南では最近、統一運動の最前線に労働者が立っている。巨大な社会政治的潜在力として存在している1300万の労働者が統一運動に立ち上がったことで、統一運動はさらに進むだろう。統一運動が民衆全体に広がりつつあるというのも南の最近の特徴といえる。

 しかし、西海交戦などでもわかるように、分断の元凶・駐韓米軍や反統一勢力が祖国統一を妨げているが、その前でちゅうちょしたり後退してはならない。統一過程における一時的な難関に落胆するのではなく、常に統一に対する信念を持たなければならない。わが民族同士で偉業を成し遂げられるという強い信念だけが、統一運動を力強く推進する勝利の源泉となるからだ。

 祖国統一は、10年後くらいに劇的な姿で私たちの前に現れるだろう。それまで統一への信念を持って、心身ともに統一運動に捧げていこう。

独自の位置確保を(姜萬吉・尚志大学総長)

 まず、なぜ統一しなければならないかについて考えてみたい。数千年の間一緒に暮らしてきた民族が、不自然な形で分断されているので統一して暮らさなければならない。また、分断のせいで南北はばく大な軍事費を負担しており、これを教育費や社会福祉費にまわすためにも統一をしなければならない。しかし、もっとも大切なのは南北の住民、ひいては東アジアすべての人々が21世紀を平和に暮らすために、統一を実現しなければならないということだ。

 20世紀、わが民族社会は2回もの歴史的失敗を犯した。日本に強制支配されたのが1つ目の失敗であり、南北に分かれ戦い対立したのが2つ目の失敗だ。21世紀を迎えた現在、わが民族の前にこれらの失敗を取り返す3回目の機会が訪れている。

 第2次世界大戦後、朝鮮民族とドイツ民族、それにベトナム民族が分断民族となった。

 この3つの民族のうちベトナムは戦争統一を、ドイツはいわゆる吸収統一を20世紀中に成し遂げた。しかしわが民族は21世紀になった現在も統一を実現できていない。

 南北当局者は戦争統一はもちろん、吸収統一もしないと公言している。戦争でも吸収でもなければ、どのような統一が可能なのか。その答えが6.15南北共同宣言、つまり「協商統一」なのである。「協商統一」はほかの2つの方法と違って、すぐに実現できるものではない。「協商統一」には相当期間の平和共存期間がなければならないからだ。

 21世紀の世界史は帝国主義を清算し、地域共同体を作り上げようという時代になりつつある。今後、南北は永世中立でもなく、中国、ロシアなどの大陸勢力や日米といった海洋勢力のどちらにも偏らない、第3の独自の位置を確保しながら統一するのが望ましい。

 21世紀になった時点での南北7000万の住民は、6.15共同宣言の発表により20世紀における2回の歴史的失敗を克服し、平和統一を成し遂げ地域と世界の平和に貢献するための3回目のチャンスをつかんだ。わが民族はこのチャンスを逃すことなく、成功を収められるだけの力を十分に持っていると思う。

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