従対委が報告書

「太平丸」事件


 朝鮮中央通信によると、朝鮮民主主義人民共和国の「従軍慰安婦」・太平洋戦争被害者補償対策委員会(従対委)は7月25日、44年7月に1000余人の朝鮮人を乗せた旧日本陸軍の輸送船「太平丸」がカムチャッカ半島近海で沈没し、655人が死亡した事件の真相報告書を発表した。

 報告書は@沈没の経緯A沈没事件は朝鮮の青年に対する日帝の強制連行、強制労働の産物B日本政府の態度と立場Cわれわれの要求―の体系からなっている。被害者の証言も盛り込まれた。

 日本政府は今年5月に今野東衆院議員が出した質問趣意書に対する返答で、事件で亡くなった朝鮮人犠牲者数を182人と発表。しかし、市民団体の調査で黄海道、江原道からそれぞれ500人ずつが強制連行されていたことが判明していたため、政府の発表については「人数が少ない」「再度調査を」との声が上がっていた。また、太平洋戦争韓国人犠牲者遺族会の名簿引き渡し要求にも拒否の姿勢を貫いている。

 報告書は、政府発表の犠牲者数は事件を直接体験した生存者の証言とあまりにもかけ離れていると指摘。朝鮮人の被害実態を極力わい小化して被害者と遺族に対する責任を免れようとする行為としか考えられないとし、これは過去の清算に対する日本政府の誤った態度と立場の今ひとつの明白な表れだと非難している。

 また、日本政府に対して@事実の真相と朝鮮人犠牲者名簿の公開A朝鮮人強制連行者と遺族への謝罪B被害者の遺骨捜査および返還C関係者の処罰――を求めている。

日本語版TOPページ