取材ノート

立ち上がった中級部生徒


 大阪、愛知の各地域で民族教育の権利を守るための署名運動が盛んだ。外国人学校を正式に認可し、私学並みの助成、大学受験資格、そして日本学校における民族学級の制度的保障を求めるもので、岡山や東京でも今後運動を計画中だという。一方、宮城でも私学並みの助成金を求める署名運動が始まっている。先日取材で訪れた大阪市内の各駅頭にも、会社帰りや通学途中の人々でごったがえす人ごみのなか、懸命に朝鮮学校の処遇改善を求める同胞たちの姿があった。

 大阪府下での大規模な署名運動は、94、96年に続き3回目。2度目に150万人分を集めて以降、府下の各朝鮮学校では、市に保護者補助金を求めたり、公開授業を開くなど、民族教育への理解や支持を地道に訴えてきた。

 中大阪朝鮮初中級学校もそのうちの1校だった。運動の先頭に立つ保護者たちは一様に、「子どもたちのために学校を守りたい」という決意であふれていた。その思いが伝わったのか、7月初めには、同校の中級部3年生全員が自ら街頭に出て署名運動を行った。

 炎天下のなか、生徒たちは精一杯の声を張り上げながら道行く日本市民に訴えかけた。慣れないうちは大人でも「お願いします」の一言を言うのに結構勇気がいるものだ。中級部3年生の朴誠衍くんは、「アボジ、オモニが僕たちのために一生懸命にたたかっている姿を思い出しながら日本市民に訴えた。最初は緊張したが、やってみると意外と大きな声が出た」という。

 34人がこの日集めた署名は1000人分近くに上った。『がんばりや』と声をかけてくれる人もいる一方で、無関心に通り過ぎていくサラリーマンも。それでも彼らの笑顔は明るい。

 「朝鮮学校について知らない人がまだまだたくさんいることを痛感した。署名運動を通してもっと朝鮮学校をアピールしたい。地道な努力が実を結ぶ日がきっとくる」(朴くん)(花)

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