みんなの健康Q&A
C型肝炎(上)−症状
インターフェロン投与で慢性化阻止
Q:肝炎にはどんな種類があるのですか?
A:先進国においては主としてA、B、Cの3つの肝炎があります。ただかつて発展途上国にみられたE型肝炎が日本でもあることが明らかとなり問題となってきました。 Q:どんな経路で感染するのですか? A:A型は経口感染、すなわち食物を通して感染します。日本では生ガキを食べて感染することが多いようです。東南アジアなどの旅行後に感染することもあります。B型、C型肝炎については経静脈性感染。一番多かったのは輸血による感染ですが今はほとんどありません。また、B型肝炎については新生児に対するワクチンの投与によりほとんど今はなくなりましたが、B型肝炎保有者の母から子供への母子感染が1985年以前の主な感染経路でした。C型肝炎では全くありませんが、B型肝炎ではB型肝炎保有者をパートナーとする性感染が時々あり、B型肝炎患者の診療にあたる医療従事者の針刺し事故もまれにあります。E型肝炎もA型肝炎と同じく経口感染といわれています。 Q:感染するとどんな症状があるのですか? A:急性肝炎、特にA型、B型は黄疸や食欲不振、嘔気などの症状があります。C型肝炎の場合、肝炎が発症して全身倦怠などの症状がでることもありますが、症状がほとんどない場合も多くあります。 Q:急性肝炎はどれくらいの頻度でありますか? A:厚生労働省の調査では年間約3万人でAが40%、Bが25%、C型は8%くらいで、その他が25%です。 Q:急性肝炎はどのように診断、治療するのですか? また、完全に治るのですか? A:急性のA型、B型肝炎は劇症化しない限り、数カ月の経過で100%治ります。急性A型、B型肝炎の場合、血液検査でGOT、GPIなど肝機能検査と、肝炎ウイルスの抗体検査で診断します。診断がつけば入院の上、安静を保ち点滴治療します。治れば何の後遺症もありません。急性C型肝炎の場合、慢性化することが多いのです。慢性化すると慢性肝炎から肝硬変や肝癌にすすむ可能性があります。そのことがC型肝炎に対する関心が高い原因の1つです。 Q:急性肝炎の死亡率は? また、劇症化すればどうするのですか? A:急性肝炎の死亡率はB型がもっとも高く1.8%、C型は1.2%、A型は0.3%です。E型は世界保健機関(WHO)によれば0.4%〜4.0%です。劇症肝炎に対しては近年生体肝移植が有効で救命率は80%といわれています。 Q:C型肝炎はどのように診断するのですか? また、種類があるのですか? A:C型肝炎は長らく非A型非B型(A型でもB型でもない)肝炎と呼ばれ原因が不明で的確な診断と治療は困難でしたが、89年に米国のカイロン社によって遺伝子の一部が発見されて以来、血液検査で正確に(99%の診断率)診断できるようになりました。種類は4種類あり(Ta、Tb、Ua、Ub)、日本ではTbが70%の頻度で、Uaは20%、Ubは10%です。 Q:急性C型肝炎の治療はどのようにするのですか? A:急性C型肝炎の診断がつけば、入院の上、安静にして点滴治療を行いますが、最近の研究により、早期にインターフェロンを投与すると60%以上慢性化するのを阻止することができます。 Q:日本ではどれ位の人がC型肝炎にかかっているのですか? A:人口全体の1.5%くらいの、すなわち200万人ほどがC型肝炎感染者(陽性者)です。手術などの医療行為に伴う輸血による感染が、40%くらいを占め、あとは不明です。ただ戦後の混乱期にヒロポンなどの覚醒剤の注射などにより広まったことは確かです。若年者より高齢者の感染率が高く、西日本の方が東日本より高率です。在日同胞においても、およそ1.5%〜2.0%の感染率で日本人とほぼ同じか、やや高い感染率です。 Q:C型肝炎の場合、家族内感染はあるのですか? A:母親がC型肝炎陽性者の場合の新生児への感染(母子間感染)は、1%以下の確率といわれています。夫婦間感染、家族内感染はほとんどありません。食器、浴室の共用など全く問題ありません。ただしカミソリなどの共用はやめて下さい。 |