くらしの周辺
「日本の朝鮮族」
休みを利用して、1週間ほど中国を旅してきた。中国の東北地方にある瀋陽を拠点に、朝中国境地帯の図們、延吉、長白山(白頭山)、吉林、長春など、延辺地方と呼ばれる朝鮮族の密集しているあたりを、列車と車を乗り継いで延々3000キロの旅。
現地では中国語を知らない朝鮮族がいるほどで、道中、主に朝鮮語での会話と、ガイドブックに載っている下手な中国語だけで、ほとんど問題なく過ごせた。 彼らは朝鮮族である自分たちのことを「中国人」であり「朝鮮族」だと自称していた。彼らにとっての「ウリナラ」とは中華人民共和国を意味するが、「ウリマル」となると中国語ではなく朝鮮語を表すらしい。「ウリ」の対象が日本で暮らすウリとは違っていた。 また、彼らは私を指して「日本人」「日本の朝鮮族」だと、周りの人に紹介した。「おいおい、ちょっと待ってくれ。日本人じゃないぞ」とさえぎると「ここではそうなんだ」とあっさり言った。そんな彼らは普通に朝鮮語を話し、食生活をはじめ生活様式も朝鮮式で、確固とした朝鮮民族のアイデンティティーを持っている、たぶん普通の朝鮮族。 在外同胞にとって、「国籍」と「民族」に対する理解は、居住地によって大きく異なるのだろう。ロシアの同胞は自らを「高麗人」と呼び、アメリカでは「韓人」、日本にはご存知2通りがあり、いや3、4通りか? 日本円にして100円もあれば、腹いっぱい食べられる、本場の中華料理を前にして、旅のあいだ中「私は誰なのだろう?」と、結構真剣に考えた。(李紅培・朝青員) |