みんなの健康Q&A
C型肝炎(中)−療法
放置すれば肝硬変、肝臓がんに
Q:なぜC型肝炎が日本では第2の国民病といわれるのですか?
A:前回にも述べましたが、日本では人口の約1.5%、200万人が持続感染者(陽性者)です。感染の原因として売血制度などによる輸血後肝炎などさまざまな社会的要因があげられています。そしてその感染病の多くの人が治療を受けなければ肝硬変、肝臓癌にすすんでいくのです。かつて日本では、肺結核が国民病といわれ、国を挙げての撲滅運動が展開され多大な効果を収めました。そうした歴史を踏まえ、日本肝臓学会はC型肝炎を第2の国民病と位置付けたのです。今、肝臓学会はその撲滅のための運動に立ち上がり、また日本政府も本年4月より40歳の総合検診などの検診事業に、C型肝炎ウイルスの検査の追加を義務づけました。 Q:C型肝炎はどのような経過をたどるのですか? A:急性C型肝炎はほとんど症状がないことが多く、C型慢性肝炎の患者さんは、血液検査C型肝炎抗体陽性で初めてわかることが多いのです。しかも多くの患者さんは肝機能(GOT・GPT)などの数字が異常でもほとんど症状がなく、一般の人々と同じような日常生活を送っています。ただ治療をしなければかなりの確率で慢性肝炎から肝硬変、ひいては肝臓癌まですすんでいくのです。 慢性肝炎は、線維のでき方により軽度(F1)、中度(F2)、重度(F3)、肝硬変(F4)の4段階に分類します。C型慢性肝炎では8〜10年かかって一段階上に昇ることが明らかにされています。F1からは年々0.5%、F2からは1.5%、F3からは3%、F4からは7%、肝臓癌が発生します。すなわち100人のC型肝硬変の患者さんをみていると10年間に70人から80人に肝臓癌が発病してくるのです。 Q:C型肝炎の治療には、どのようなものがあるのですか? A:C型肝炎の治療にはGOT、GPT(40以下が正常)などの肝機能を改善するためウルソなどの内服薬や強力ミノファーゲンCなどの静脈注射があり、また、C型肝炎ウィルスそのものを叩き消滅させるためのインターフェロン注射などがあります。前者の薬で肝機能を改善(GOT、GPTが80以下)することができれば、肝臓癌への進展をある程度抑えることができます。 Q:インターフェロン治療とはどんなものですか? その治療効果はどのようなものですか? A:C型肝炎の治療においては、92年からインターフェロンの保険診療が認可されました。静脈注射によるβと皮下注射によるαがあります。インターフェロン治療により、C型慢性肝炎の3割の方々がC型肝炎ウイルスが消失し、肝機能が完全に正常化する状態にまで改善します(完全著効)。この10年間の治療成績の検討から、著効の方々から肝臓癌が発生する割合は、インターフェロンで治療しない人の5分の1から20分の1程度に減少することがわかってきました。 近年、インターフェロン治療もさまざまな工夫が重ねられ、C型肝炎によく効く飲み薬であるレバトール(リバビリン)と、インターフェロンを併用することにより、従来インターフェロンの効果が低かった(完全著効率5%程度)、C型肝炎ウィルスの型がTbでウィルスの量が多い患者さんにも、効果(完全著効率20%程度)が期待できるようになりました。また、2月12日の厚生労働省保険局の通知により、インターフェロン投与に伴う多くの制限が解除され、6カ月以上の長期投与も可能となり、今後の著効率の向上が期待されます。 Q:B型肝炎の治療には、どのようなものがあるのですか? A:今まで重要な治療法としてインターフェロン治療が有望でしたが、この2、3年前よりラミブジンという薬が開発され、重要な治療法となっています。簡単にいうと肝細胞の中でB型肝炎ウィルスを増殖させる働きのあるDNA―ポリメラーゼという酵素を阻害する薬です。とりわけ、劇症肝炎を含む肝炎の重症例や、黄疸のある肝炎などで有効です。また、B型慢性活動性肝炎でもラミブジンを投与すると活動性が抑えることができます。ただ長期間(1年以上)使っていると、DNA―ポリメラーゼを阻害する作用がなくなり、効果が弱くなることがわかって来ました。その他、B型肝炎の発症を予防するHBワクチンが治療に用いられ一定の効果があがっています。 |