ざいにち発コリアン社会
留学同祖国訪問ツアー Sコース
「参観、ウリマル、出会い、探求」通し歴史、統一観深める
「歴史観、統一観を深める」ことをテーマに掲げたSコース。参加した12人のメンバーのうち、6人は祖国訪問初体験者だ。約2週間の滞在期間、万景台をはじめ檀君陵、朝鮮歴史博物館、朝鮮革命博物館、妙香山、国際親善展覧館、普賢寺、信川博物館、板門店、チュチェ思想塔、凱旋門など各地を参観した。行く先々で出会う同世代との交流も好評だった。金策工業総合大学の大学生をはじめ、テピョン協同農場員らともすぐに打ち解けていた。 ツアーではこのような交流会をはじめ、朝鮮文化体験、各専攻ごとに参観地を選べる「セレクト・オプション」(Lコースのみ)など、さまざまな企画が盛り込まれたが、なかでも好評だったのが、現地の大学教授が指導する「ウリマル講座」だった。初級コースでは、あいさつや自己紹介などを学び、上級コースでは、日常会話や発音のレッスンを受けた。習いたてのウリマルでのあいさつをすぐに日常生活で実践するなど、現地ならではの学習を通して「生きたウリマル」を身に付けていた。 ◇ ◇
天気も良く、過ごしやすい気候のなか、妙香山での野外バーベキュー、玉流館の冷麺、特製アイスクリームに舌鼓を打つなど、楽しい日々を過ごした参加者たち。 金正日総書記が参席する中、「アリラン」最終公演を鑑賞するという幸運にも恵まれた。素晴らしい公演で世界を魅了した出演者の姿に、朝鮮人民の一致団結した力、祖国の強さを実感したようだ。また板門店などの見学を通じ、分断の背景には民族対立があるのではなく、和合を妨害する明確な敵がいるということを実際に自分の目で再確認していた。 「今回の祖国訪問を通じて学生たちは、自分の祖国が日本のマスコミが吹聴するする『恐い国』などでは決してなく、そこには、よく笑い、よく食べ、よく歌う人民がいたということを自分の目で確かめることができたようだ」と引率した留学同埼玉・朴東浩委員長は語る。どこに行っても彼らは祖国人民たちの温かい待遇を受け、同胞愛、朝鮮人としての一体感を得ていた。 「今回の体験は、彼らにとってこれからの大学生活、そして同胞社会を生きるうえでの大きな糧となるに違いない」(朴委員長)(李明花記者) 同世代の姿に学ぶ―金順恵 高級部以来、2度目の訪問。2年ぶりの祖国は以前よりいっそう前進、発展しているように見えた。祖国の大学生たちをはじめ同世代との交流会はとても楽しかったし、彼らが将来の夢を祖国、民族と自然に結び付けている姿を見て、私自身も「自分が何をやりたいか」ではなく、「祖国、民族のために何ができるか」を考えたいと思うようになった。 檀君陵、歴史博物館などの見学を通して、私も5000年の朝鮮民族の一員であるということを実感できた反面、1つの血筋、言語、文化伝統をわかちあってきた単一民族が今、2つに分断され、離ればなれになっている悲惨な事実を先祖たちはどんなに悲しんでいるかと思うと胸が痛んだ。 7000万同胞の一員として、先頭に立ってその夢を実現させていきたい。(留学同京都、アミューズ美容専門学校2年) 板門店で統一誓う―金泰嵩 各参観地を回りながら民族受難の歴史をたどっていくうちに、わが民族がどれほどの苦難をくぐり抜けてきたのかを、実感させられた。とくに信川博物館を見学した時には、米軍のむごさ、残酷さに怒りがわいた。また板門店では、階段の1段目分にも満たない石段に何十年もの長い間、民族が苦しめられ、北と南に分離されていると思うとやりきれなくなった。南側で笑っている米兵を見た時、「統一するには米兵が朝鮮の地から出て行かなくてはならない」と語った現地の人の言葉が浮かび、「米兵を1日も早く追い出し、統一を私たちの力で成し遂げなければならない」という思いをいっそう強くした。 出会った同世代の若者たちはみな、祖国、民族のために生き生きと学び、たたかっていた。私も彼らに負けないように、日本にいるからこそできる運動を多くしていこうと思う。(留学同東海、中部大学3年) 「つながり」感じた―柳星伊 今回の祖国訪問はとても楽しかったし、私にとって意義深いものとなった。 強制連行されたハラボジや「従軍慰安婦」のハルモニの証言を通し、南北分断の現状や過去の歴史を実際に身体で感じ、学ぶことができた。 今まで私は祖国の分断と自分自身のかかわりをうまく見出すことができず、祖国のために何をすればいいのかわからなかった。しかし、元「慰安婦」のハルモニの証言を聞いて、日本軍や米軍が犯した過去の蛮行は決して他人事ではないこと、私たちが正しい事実を日本社会に広めていくことが彼らの励みになるのではないかと思った。 「日本に永住するので朝鮮とは関係ない」「日本人と同じ」と考える少なくない同胞学生に、私が現地で感じた「祖国とのつながり」を伝えていきたい。(留学同大阪、大阪大学2年) 朝・日のかけ橋に―鄭仁大 金策工業総合大学の学生やテピョン協同農場員たちとの交流をはじめ、道行く人々、案内員、「アリラン」公演出演者たち…。祖国の人々と2週間触れ合うなかで最も印象的だったのは、その「目」だった。彼らの目は祖国統一をわが民族同士の力で必ず成し遂げてみせるという信念と楽観にあふれていた。「私は祖国統一のために在日同胞として日本で何ができるのだろうか」――彼らを通してよりいっそう祖国が身近なものになった反面、その考えは自分を見つめ直すきっかけにもなった。 祖国を訪問し、日本にどれだけ誤った情報、歴史認識が存在するか、あらためて感じた。朝鮮と日本が真の友好と理解へ歩んでいける道を作って行かなければならない。そのためにも在日同胞として、朝・日の架け橋となれるような活動をしていきたい。(留学同京都、立命館大学2年) 民族のルーツ再確認―金映玉 学生時代、将来朝鮮人としてどのように生きていくか真剣に悩み、多くの希望と抱負に満ちあふれ卒業したはずだった。社会人になってから2年半、その自信が揺らぎはじめた。祖国訪問を決めたのは、学生生活を終えた私が日本で朝鮮人として生きていくうえで、揺らぎ始めた自分のルーツをしっかりと再確認したかったから。 実際に祖国を訪れ、たとえ日本に住んでいても私の身体には、檀君から始まった朝鮮民族の血が流れているんだと再認識した。祖国で出会う人々が私のことを「同志」と呼んでくれ、涙が出そうにもなった。 今回の訪問は私にとって、いつもくじけそうになった時に支えてくれる心のよりどころとなるだろう。(埼玉出身、留学同OB) |