「包括的な解決方式」模索
朝・日外務省局長級会談
【平壌発=金志永記者】赤十字会談に続いて平壌で開かれた朝・日外務省局長級会談は、ブルネイでの朝・日外相会談(7月31日)を契機に、両国間の国交正常化のための論議が本来の姿に戻るようになったことを見せつけるものだった。
「小泉メッセージ」 今回の局長級会談は、中断した国交正常化会談の再開を実務的に準備する単純な予備会談ではなかった。
日本側の田中均アジア大洋州局長は、金正日総書記にあてた小泉総理のメッセージを持って平壌を訪れた。懸案問題が解決すれば、国交正常化を実現する用意があるという内容だったという。 朝鮮側も洪成南総理、姜錫柱外務省第1外務次官が日本側代表と会うなど、異例の措置を取った。 ロシア極東地域を訪問した総書記に随行していた姜第1外務次官は、朝ロ首脳会談が行われた直後に空路、先に平壌に戻った。局長級会談に備えるためのものだったといえる。 姜第1外務次官はいうまでもなく、ジュネーブでの朝米基本合意文を採択した、朝鮮側代表だった人物である。 今会談のクラスは局長級ではあったが、当局者間の接触を通じて国交正常化と関連した首脳級の意思が伝達されたことは、注目に値することだった。 ブルネイでの朝・日外相会談で双方は、朝・日関係を改善し地域の平和と安定のために国交正常化を可能な限り早く実現し、そのために過去の清算問題と朝・日間の諸問題解決に真しな努力を傾けていくという内容の共同報道文を発表した。局長級会談は、外相会談での確認内容が相当、重い意味を持っているということを実証するものだった。 時期を逃さないよう 局長級会談は、国交正常化を可能な限り早く実現するという外相会談での確認内容を、実のあるものにするための会合だった。会談は従前の会談とは異なる様相を呈していた。 朝・日国交正常化会談は10年余りの間、中断と再開を繰り返してきた。朝鮮側は国交正常化における基本の核心問題である過去の清算を一貫して主張してきたし、日本側は会談の性格にそぐわない、いわゆる「拉致問題」や「ミサイル問題」などを取り上げてきた。 双方の対立点は、簡単に解消されるものではなかった。今回の局長級会談でも同じ問題が論議された。 「会談場に灰皿を準備してくれてありがとうございます」 会談の冒頭、日本側の田中局長は会談の難航を予測するかのように、冗談めかして語ったが、それ以後はどうにかして問題解決の方途を探し求めようとする双方の立場を垣間見ることのできる対話が継続した。 朝鮮側の馬哲洙局長は「われわれが疲れても、未来のためのことなのだから、やりがいがあると思います」と語りながら、会合の重要性を強調し、田中局長も「懸案を解決することのできる時期は限られているが、今会談がそのための第一歩となるよう期待しています」と応じた。 日本がすべき「決断」 会談で双方は、過去清算問題を含む国交正常化と関連した諸問題、人道主義問題を含む懸案の解決のための方途などについて真しな協議をした。その結果、発表された共同報道文はこのような諸問題を解決していくために双方が「政治的意志を持って対処していくことが重要であるとの認識をともにした」ということを確認した。 実際、今回発表された共同報道文は双方が「国交正常化と関連した諸般の問題および朝・日間の懸案問題解決を包括的に促進する方式で、国交正常化会談を早期再開するための可能性について検討」すると明らかにしている。意見一致を見るための協議の期間を1カ月と定めた。 国交正常化を可能な限り早く実現するためには、双方ができることをすべてやらなければならない。日本側には、小泉総理が送ったメッセージを実践に移し、過去清算問題に終止符を打つ「政治的決断」が求められている。 |