春・夏・秋・冬

 来月末から始まる、釜山アジアオリンピック大会参加問題を論議していた北南間実務接触の合意内容が発表された。北南選手団は、2000年のシドニーオリンピック大会に続いて、開会式で統一旗を先頭に共同入場することになった。北南が「1つになった」光景が全世界に伝えられることになる。「分断されている南北が互いに1度会えば、もうそれが統一だ」という趣旨のことを語った故文益換牧師の言葉が感慨深く思い起こされる

▼と、このコラム執筆中に、小泉首相が17日に平壌を訪問するというビッグニュースが飛び込んできた。「外交の妙」である。朝鮮中央通信も「9月中旬」の訪朝を伝えた

▼この事実をスクープした南の文化日報東京支局長の記事によると、先の局長級会談時、金正日総書記のロシア極東訪問に随行、首脳会談後に急きょ1人、先に平壌に戻った姜錫柱・外務省第1次官と日本側の田中・アジア大洋州局長との会談の席で、田中局長の側から提起されたという

▼むろん実現すれば、いうまでもなく朝・日両首脳の会談は初のことだ。振り返れば朝・日国交正常化交渉は89年、当時の竹下首相が過去の清算を含めて言及、2000年10月まで11回行われてきたが、中断、再開の繰り返しであった。その最大の要因は、過去の存在を認めながら真しに対応してこなかった日本側にある

▼行きつく結論が明白だけに、日本側には今回こそ、かつての轍(てつ)を踏まずに、近くて近い隣国として、友好親善関係を樹立できるよう、最大限の努力をしてほしい。(彦)

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