世代を越えて -女性同盟結成から55年-

明るく楽しくバトンを継ぐ

愛知・南支部オモニバレー部 田琴順さん


 身長169センチの見事な体格。ショートカットにさわやかな笑顔が印象的だ。愛知県南支部オモニバレーボール部監督兼同支部女性同盟副委員長の田琴順さん(47)。前年まではバレー部主将を務めていた。

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 田さんが、地元・名古屋市でオモニバレーを始めたのは17年前のこと。朝鮮大学校時代の先輩に誘われたのがきっかけだった。「はじめは子供も小さいし、できないと断ったんです」。当時、長男は1歳半。周りの温かいフォローもあって、いつのまにかハマッていた。2男2女の母親。「3番目の子は、生後4カ月の頃から連れて行き、4番目は妊娠5カ月のとき中央大会でプレーしてた」と、熱中ぶりを話す。

 体育館に行くと、皆が子供を見てくれた。子供が小さい頃は先輩が車で迎えに来ることも。オモニバレーはその名の通り、オモニたちの趣味である。しかし、それは「人生勉強の場」でもある。家庭にこもりがちな若いオモニたちが、チョソンサラムとのつながりを持ち、人生の先輩たちからいろんなアドバイスを受けることは核家族化が進む中、より意義深いものとなっている。

 「゙貞子さんは2人のお嫁さんと一緒に参加している。プレー中には孫の面倒を見、他のプレーヤーたちにもバレーだけでなく、さまざまな面でアドバイスをする陸房子さんも同じ」。田さん自身、今になって思うことは「人それぞれ年齢によってポジションがあるんだな」ということ。「今度は自分がお返しする番」だと考える。

 「年を取ってプレーできないからもうやめます、と言うんじゃなくて、年を重ねればそれなりの役割があることを学んでいます」

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 南支部には現在13ものサークルがある。中でもオモニバレー部は来年30周年を迎えるという筋金入りのサークルだ。「鄭仙玉、朴英子、田任順さんなど、設立当時の方々が今でも若手を育てながら非常に良くしてくれている」。その伝統は代々受け継がれ、「共に支え合う」気風が作られてきた。

 「女性は、子供の急な発熱や、家庭の事情、妊娠など一筋縄ではいかない。でも、オモニバレー部では固い絆で互いをフォローしながら30年間も歩み続けてきた。困難にぶつかったとき、そっと手を差し伸べてくれる人がいるというのはありがたいこと。その繰り返しが互いの成長にもつながっている」

 バレーボール部のメンバーは学校のオモニ会や支部女性同盟の役員など、同胞社会を支える「要」にもなっている。

 「何より若い人がどんどん仲間を連れてきて、人が増えていっているというのが嬉しい」と田さんは言う。現メンバーは19人。「明るく、楽しく、バトンを受け継ぎながら、チョソンサラムの輪をどんどん広げていきたい」と希望を話していた。(金潤順記者)

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