朝鮮学校の処遇改善愛知署名運動、8万人を突破

文部科学大臣、知事らに10月要請へ


 在日朝鮮人民族教育愛知県対策委員会が6月から繰り広げている「教育助成金拡大のための3カ月運動」。県下5つの朝鮮学校への私立学校並みの教育助成の実施、朝高卒業生に対する日本の国立大学受験資格の認定などを求める署名運動を展開する一方で、朝鮮学校の公開授業も行われた。署名は8月末現在、8万人分が集められた。対策委では10万人を目標に引き続き署名を集め、10月に文部科学大臣、県知事、県議会議長に提出する予定。またこの間、県と21の市・町に対する要請も行い、江南市、岩倉市は新たに助成金支給を決めた。(羅基哲記者)

18、25日に街頭署名

 署名は、名古屋駅、金山総合駅など県下主要駅での街頭署名をはじめ、各学校の学区別、総聯支部と傘下の各団体別に行われている。街頭署名はこれまで延べ15回行われ、800人を超える学父母、地域同胞、生徒らが参加。多くの人が理解を示して署名した。中には名刺を差し出し協力を申し出る日本人弁護士も。

 この間、豊橋に住む朴春明さん(総聯分会長)は520余人分を、韓明生さん(南区居住)、愛知朝高2年の崔知恵、南慶美さんもそれぞれ500人分以上を集めるなど、全体として街頭で2万人、その他6万人の計8万人分を集めた。

 建設業を営む朴さんは、仕事上のつながりを生かし、韓さんは署名用紙を肌身離さず持ち歩いて集めたという。また同胞結婚相談所では提携ホテルなどの業者、金剛保険では契約会社から多くの協力を得た。ある日本人の書店主は200人分の署名を集めて対策委に送ってくれたという。

 なお18、25の両日、名古屋駅、金山総合駅でふたたび街頭署名を行う予定だ。

公開授業に国会議員ら

 署名運動を展開する一方、すでに朝鮮学校への助成を実施している市・町には増額を、実施していない市・町には助成の実施を要請し、議会には陳情書を提出した。結果、江南、岩倉の両市では4月にさかのぼり新たに助成金を支給することを決定した。

 一方、愛知中高、東春初中、愛知第7初級ではこの間、公開授業を実施。国会・県・市議会議員、自治体の首長と関係者、日本学校教員などが訪れた。

 愛知中高を訪れた自民党県議員団の結城秀治副団長は、「授業内容は日本学校と比べてそん色なく、生徒はとても礼儀正しい」と述べ、東春初中を訪れた前田雄吉・衆院議員(民主党)も「数学は日本学校より水準が高い」と話した。

 愛知第7初級を訪れた瀬戸市の増岡錦也市町は「生徒はとても明るく元気がいい。朝鮮学校の教員は日本語をわかりやすく簡潔に教えている。びっくりした」などと感想を語っていた。

 22日には、豊橋初中でも公開授業が行われる。

 なお愛知第7初級を訪れた大島令子・衆院議員(社民党)らは、「朝鮮人学校に関する質問主意書」を国会に提出、7月30日に質問を行った。

 また自民党県議員団私学振興議員連盟と国際交流推進議員連盟の共催により、講演会(「朝鮮半島情勢と日朝関係をめぐる諸問題」)と、朝鮮学校への助成金問題などに関する意見交歓会が行われ、半数以上の議員らが参加。さらに「日朝教育・文化交流をすすめる愛知の会」では、朝鮮学校生徒が居住するすべての市と町の9月議会に陳情書を提出し、秋には県知事と名古屋市長に対する要請を行うという。

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