私たちのうた

朴再仁


終着駅ではない

 国の
 北端でもなく
 南端でもない
 ここ―ケソン駅よ

 ここに向かう人は多かれど
 自由に越えていった人はいない
 ここは行く道ふさぐ絶壁

 南に走る列車は
 ここできびすを返し
 北へと戻り
 ケソン駅よ、お前はいつから
 終着駅に成り変わってしまったのか

 川を越えあと一歩
 一歩だけゆけば
 両親の生まれ育った村
 会いたい顔…
 車窓に映るが

 分断線 南の故郷への道は
 近くても遠い
 越えることのできないこの境界線が
 血肉の思い二つに
 分かつ

 列車よ、さあ走れ
 三千里の道を自分の庭のように
 満ち満ちた喜びで走れ
 その姿を私は見たい

 ああ、この願い
 その日がくる時
 故郷へとつながるこの線路が
 夢の道のように輝く

 切実な願いをのせ
 統一線路の上
 疾風のように列車が駆け抜けるとき
 たちはだかる敵も
 歴史の水泡の中に
 消えうせるはず

 終着駅ではない
 ケソンは終着駅ではない

 統一の日は
 誰にも邪魔はできない
 分裂の線路に終止符をうち
 二つに分かれた地を一つにむすび
 統一の大門を開け放て

 ああ、その日には南行列車にゆられ
 喜びという喜びのすべてを詰め込んで
 幸せという幸せのすべてをかかえて
 分裂の終着駅をとびこし
 故郷へいく

 ああ、その日にはケソン駅よ、
 ここにまた降り立ち
 終着駅ではない切符
 南行切符 一枚 きっておくれ

 パク・チェイン 総聯結成45周年記念文学作品集 「風浪を越えて」に収録。
(訳・全佳姫)

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