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ゆがんだ歴史認識正そう−北海道で強制連行・労働犠牲者考えるフォーラム

 第1回「強制連行、強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」が16日、札幌市の本願寺札幌別院で開かれた。日本の植民地支配下、北海道に強制連行され強制労働を強いられた朝鮮人らのものと見られる100体以上もの遺骨が昨年11月、同寺院で発見されたことがきっかけとなって企画されたもの。調査にあたった同院関係者、地元の総聯、民団、宗教家、学者、民衆史研究グループらが「これを機に遺骨処理問題をともに考えていこう」と呼びかけ人になり、日本各地、南から同胞、日本市民ら約300人が参加した。

 調査にあたった「遺骨問題にかかる調査委員会」(本願寺宗派の僧侶らで構成)によると、同院で発見された遺骨は、地崎組(現・地崎工業)、川口組、菅原組、鉄道工業など道内の土建業者による強制連行、強制労働が原因で亡くなった朝鮮人らのものと見られ、戦前、戦後を通じ同院に預けられたという。

会場には日本市民、同胞ら約300人が訪れた

 これは、地崎工業が保持してきた遺骨遺留品整理簿(朝鮮人犠牲者の遺骨、遺留品一覧表)の資料とほぼ一致している。本籍は多くが南だが、なかには黄海道、平安南道など北の出身者も見られる。名簿があったにもかかわらず、地元企業と同院の一部関係者の独断で「合葬」され、今では身元がわからなくなってしまった。

 フォーラム開始にあたって参加者全員が、強制連行、強制労働の犠牲者を弔うため黙とう。続いて「過去をどう克服するのか―日朝関係と歴史認識の歪み」と題し、神奈川大学の尹健次教授が基調講演を行った。

 尹教授は、過去に日本が犯したアジア侵略の歴史について解説。「いまだ日本社会で続く民族的差別によって植え付けられた、ゆがんだ歴史認識を(加害者と被害者との関係のなかで)正していく作業が非常に重要だ」と述べ、そのためには「自分の身近にある矛盾に対して声を上げていくべきだ。その積み重ねがひいては東アジアの平和につながる」と強調した。

 その後「歴史の真実を見つめ東アジアの人々が共に生きる未来を考える」と題したシンポジウムが行われ、朝・日合同による朝鮮人強制連行真相調査団の洪祥進事務局長、南で強制連行問題などを研究している金廣烈・光云大助教授、席占明・札幌華僑総会会長らが発言した。

 洪事務局長は「強制連行、強制労働は日本政府と相手企業が共同して計画、実行したもの。それによって犠牲になった人々の遺骨は、彼らが責任を持って遺族のもとに返さなければならない。被害者の願いはこのような国家犯罪が2度と繰り返されないように、政府と企業がしっかり責任を取ることだ」と強調した。

 同院側は同日、遺骨が焼骨されているため、DNA鑑定による身元特定が事実上不可能となったことを明らかにしながら、あらためて関係者から当時の事情を聞き、遺骨が誰のものか再調査すると述べた。

 フォーラムでは「(100体を超えるもの言わぬ遺骨は)侵略戦争、植民地支配の歴史とそれらを清算することなく放置してきた国家、企業、そして私たちの記憶を呼び覚ますもの。遺骨問題に関する真相究明とご遺族への遺骨返還に向けて努力する」(呼びかけ文)ことが表明された。

 フォーラム共同代表の1人で、民衆史研究を長年続けている本願寺派一乗寺(北海道深川市)の殿平善彦住職は、「内向きのナショナリズムが猛威を振るうこのような情勢のなかで、今回のフォーラムを開催できたことはとても意義がある。東アジアに真の和解と友好をもたらす第一歩を、この場に集まった人々とともに切り開いていきたい」と語っていた。(李明花記者)

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北海道強制連行フォーラム−シンポジウムでの主な発言内容

[朝鮮新報 2003.2.25]